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新時代のスタンダードになるか?――“新MD”「Hi-MD」を試すレビュー(1/4 ページ)

» 2004年07月07日 17時50分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 2004年7月1日、ウォークマンが誕生25周年を迎えた。初代ウォークマン「TPS-L2」の記憶媒体に用いられたのはご存じカセットテープだが、時代の変化と共にCD、DAT、MD、HDDとさまざまなメディアが記録媒体として使用されている。

 現在、ポータブルオーディオ向けメディアとして広く普及しているMDも登場から12年の歳月を経て、新規格「Hi-MD」が登場、対応製品もようやく登場した。今回はこのHi-MDに対応したソニーのHi-MDウォークマン「MZ-NH1」を試用してみた。

photo MZ-NH1

Hi-MDとは?――1Gバイトディスク+ATRAC3plusで最大45時間の録音が可能に

 Hi-MDとは、既存MD規格との再生互換性を保ちながら、録音時間を約2倍に引き上げた新規格。既存のMDは80分ディスクで177Mバイトの容量を持つが、Hi-MD規格での初期化を行うと、2倍弱の305Mバイトの記録が可能になる。また、同時に1Gバイトの容量を持つHi-MD規格専用ディスクも用意された。

photo ソニーから発売される1GバイトのHi-MDディスク「HMD1G」。実売想定価格は700円前後。

 コーデックには、これまでMDに採用されていたATRAC/ATRAC3に加えて、「ATRAC3plus」を採用。Hi-MD形式でフォーマットした80分ディスクならば13時間30分の録音が可能(ビットレート48kbps時)で、1Gバイトディスクを利用すれば最大で45時間録音できる(同)。

 ファイルシステムとしてFATを採用、USBマスストレージクラスにも対応したことによって、PCの外部ストレージとしても利用できるようになった。CDからコピーした音楽データと、PCからコピー・移動した画像やテキストファイルなどの混在も可能だ。

photo MZ-NH1に1Gバイトディスクを装着し、PCと接続してみたところ。FATフォーマットのリムーバブルディスクと表示される

 著作権保護技術にはメモリースティックやNetMDで使用されている「OpenMG」と「MagicGate」が採用されている。

ATRAC3plusとHi-MDの関係

 Hi-MDに採用されたATRAC3plus。既にネットワークウォークマンやCDウォークマンなどには採用されているが、MD向けに採用されたのは始めて。ここでHi-MDとATRAC3の関係について、整理しておきたい。

 既存のMDで利用されているATRAC3のビットレートは、66kbps、105kbps、132kbpsの3種類。そのうち、66kbpsがMDLP4(4倍モード)、105/132kbpsがMDLP2(2倍モード)と呼ばれている。ATRAC3plusでは、新たに48kbps、64kbps、256kbpsという3つのビットレートが追加されており、Hi-MDでは64kbpsが「Hi-LP」、256kbpsが「Hi-SP」と呼称される。

 MZ-NH1に用意されている録音モードは、ATRAC3 66/105/132kbpsとATRAC3plus 48/64/256kbps、それにリニアPCM(1.4Mbps)を加えた7種類。フォーマットとして既存MD形式とHi-MD形式の2種類が利用可能なので、合計14通りの録音が可能だ。

形式 録音時間(1Gバイトディスク Hi-MD形式) 80分MD(Hi-MD形式) 74分MD(Hi-MD形式)
ATRAC3plus 256kbps(Hi-SP) 7時間55分 2時間20分 2時間10分
ATRAC3plus 64kbps(Hi-LP) 34時間 10時間10分 9時間25分
ATRAC3plus 48kbps 45時間 13時間30分 12時間30分
ATRAC3 132kbps 16時間30分 4時間50分 4時間30分
ATRAC3 105kbps 20時間50分 6時間10分 5時間40分
ATRAC3 66kbps 32時間50分 9時間50分 9時間
PCM(1411kbps) 1時間34分 28分 26分

※Hi-MD形式を利用した際にMZ-NH1で利用可能なビットレートと各メディアでの録音時間(同社発表資料より)

 最も高圧縮で長時間の録音が可能なのは“ATRAC3plus 48kbps”だが、実際にいくつかのCDをATRAC3plus 48kbpsでMDへ取り込み、MZ-NH1で再生してみた限りではどうも物足りなさが残る。あくまでも筆者の主観だが、ATRAC3plus 48kbpsの音源をMZ-NH1で再生すると中低域が弱く、シャカシャカした感じの音になるようだ。

 ATRAC3plus 64kbps/ATRAC3 105/66kbpsは、若干、中域の押しが弱い感じを受けるが、移動中に聞くことを考えると「実用に耐えるかな」というレベル。ATRAC3plus 256kbps/ATRAC3 132kbpsではそうした感じを受けなかったので、筆者がこの製品を常用するならば、ATRAC3plus 256kbpsかATRAC3 132kbpsを選択すると思う。

 これはATRAC3plusの規格の話になってしまうが、「ATRAC3plus 128kbps」という設定があれば録音可能時間と音質のバランスがいいのではないかと思うがどうだろうか。

CD→MDへのコピー方法は2種類

 MZ-NH1で、CDの音楽をPCを経由してMDへコピーする際、その方法は2種類用意されている。

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