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» 2004年07月16日 01時37分 公開

夢の“狭域無線通信”やっと本領発揮?――三菱がマルチDSRCシステムを開発 (1/2)

三菱電機が、マルチアプリケーション対応のDSRC応用システムを開発。DSRC本来のメリットを生かした新システムで、個々の車両に応じた最適情報が運転中にリアルタイム伝送され音声で知らせるといった“夢の近未来カーライフ”が見えてきた。

[西坂真人,ITmedia]

 ガソリンスタンドで給油中のわずかな時間に最新の音楽データを車載HDDにダウンロードできたり、高速運転中の車内に個々の自動車に応じた最適な交通情報や地域情報がリアルタイムに飛び込んで音声で知らせてくれる――そんな夢の近未来カーライフが、ようやく少しだけ見えてきた。

 三菱電機は、マルチアプリケーションに対応したDSRC応用システムを開発したと発表した。高速/大容量/多チャンネル通信といったDSRC本来のメリットを生かし、音声ガイダンスによる走行支援/各種サービス案内などをリアルタイムにサポートするシステムが構築できるという。「音声ガイダンスによるマルチDSRCシステムの開発は国内初」(同社)。

photo DSRC対応の車載器
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 DSRC(専用狭域通信:Dedicated Short Range Communication)はITS(高度道路交通システム)で期待される狭域での無線通信技術。高速/大容量/多チャンネルという通信メリットを生かして、専用車載器と路側機器(道路側に設置された無線装置)との間で無線通信による様々な情報提供や各種サービスが期待されている。

 だが現在は、DSRC規格の一部機能だけを使ったETC(自動料金収受システム)が「有料道路の通行料金支払い」という単機能に限定して利用されているだけで、DSRCが本来持つマルチアプリケーション型の機能は生かされていなかった。

photo ETCではDSRCが本来持つマルチアプリケーション型の機能は生かされていなかった

 今回同社は、高速・大容量通信が可能なDSRC通信用モジュールを新たに開発。従来のETC(ASK方式)に比べて約4倍となる4Mbpsのデータ転送速度(QPSK方式)と、マルチアプリケーション対応を可能にした。また、マルチアプリケーションを実現するための車載器と路側機器間のプラットフォームも構築。これらの応用例として、音声ガイダンス機能を搭載したDSRC応用システムを試作した。

 「音声ガイダンスなんて、ETCですでに実現されているのでは」と思われた読者も多いことだろう。確かに液晶モニターを持たないETC車載器などでは利用料金案内や履歴照会などを音声で伝える機能を持つが、これはETC車載器側であらかじめ用意してある音声データを決まった用途でのみ音声で伝えるというもの。このとき路側機器からはICカード情報の認識や料金情報など最低限のデータのやり取りしか行っていない。

 同社が開発したDSRC応用システムでは、路側機器からデジタル化した音声情報をプッシュ配信し、車載器で音声に変換して通知する仕組みを構築。DSRCの高速・大容量通信によって、高速移動中も音声データを受け取ることができるほか、双方向通信によって個人個人のニーズにあった音声情報が入手できる。

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