ITmedia NEWS >

夢の“狭域無線通信”やっと本領発揮?――三菱がマルチDSRCシステムを開発(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 01時37分 公開
[西坂真人,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 発表会では、試作した車載器/路側機器を使って、DSRC音声ガイダンスのデモンストレーションも行われた。

photo DSRC車載器を搭載した実験車
photo 設置されたDSRC車載器。現在市販されているETC車載器よりも一回り大きめ

 デモンストレーションでは、「駐車場」「高速道路」「大型ショッピングセンター」という3つのシーンでの音声ガイダンスを紹介した。

photo 先に見えるのが駐車場の入場ゲートに見立てたもの。上部に路側機器(アンテナ)が設置されている

 身障者割引を含んだ車載器IDを事前に登録済みという設定で臨んだ駐車場シーンでは、入場ゲート通過の際に「料金は250円です。身障者割引を適用しました」とID内容に合った料金処理と音声ガイドが流れる。また、人の往来と車両混雑で警告が必要な駐車場で入り口付近では「左、歩行者注意。安全を確認して出場してください」と音声で案内する。

photo 試験コースに設置された路側機器。上部に設置されているのがビーコンアンテナで、下の白い箱が制御装置

 また、高速道路シーンでは、大型車に環境ロードプライシング(通行課金制度)割引があるという設定で、車両IDで大型車と認識した路側機器が「この車は環境ロードプライシング割引対象者です。この先の湾岸線経由で200円割引です」と音声で知らせてくれる。DSRCでは仕様上、時速180キロで通過しても通信が可能なため、このような高速道路での情報提供が可能になるのだ。

 大型ショッピングセンターでのシーンでは、会員ICカードに個人情報や家族属性などが入力されているという設定で、車載器に挿入した会員ICカードから個人IDを取得した路側機器からは「初老の夫婦向け」「子供連れの家族向け」など客層別の音声ガイダンスが行われるというデモが紹介された。

photo 挿入した会員ICカードから個人IDを取得し、客層別の音声ガイダンスが行われる

 同社ではDSRC対応の車載器および路側機器を、2005年度中をめどに製品化していく構え。アプリケーションとしてはマルチアプリケーション対応のほか、DSRCによるクレジット決済方システムや双方向/放送型情報提供サービスも展開していく予定。また、2006年までにはカーナビゲーションシステムへの対応も視野に入れた開発を行っていくという。

 今回の新システムは、今年10月に愛知県名古屋市で行われるITS世界会議に参考出展される予定。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.