ソニーコンピュータエンターテインメント(SCE)が現在開発中の次世代家庭用ゲーム機、通称「プレイステーション3」(PS3)で、携帯機器や組み込み向けGPUのAPI「OpenGL/ES」が開発プラットフォームのベースとなる可能性が見えてきた。
「OpenGL/ES」は携帯電話や組み込みデバイス向けの3DグラフィックスAPIであり、実質的にはPC/ワークステーション用の3DグラフィックスAPIである「OpenGL」のサブセット版に相当するものだ。そして、これは同APIの規格標準化団体であるKHRONOSグループによって仕様策定が進められている。
これまでKHRONOSでは、OpenGL/ESの具体的なアプリケーションとして携帯電話やPDAなどを筆頭に挙げていたが、目覚ましいスピードで多様な機器に3Dグラフィックスが浸透していく動向をうけて、セットトップボックスのようなAV家電、自動車や航空機の操作パネル、家庭用ゲーム機などもカバーされるようになった。
OpenGL/ESには現在、「Common-Lite Profile」と「Common Profile」の2タイプのプロファイルが設けられており、Common-Liteは固定小数点実数系をターゲットにしたもの、Commonは浮動小数点実数系までをサポートしたものになる。大ざっぱな分け方をするとすればCommon-Liteのほうが携帯機器向け、Commonは家庭用ゲーム機などを視野に入れたもの、ということになるだろう。
現行のOpenGL/ESは1.0だが、今年8月に開催予定のSIGGRAPH 04にて1.1が発表される。1.1までのOpenGL/ESは、基本的な3Dグラフィックス処理だけをカバーする、文字通り「機能削減版」のOpenGLなのだが、2005年のSIGGRAPH 05で発表が予定されている「OpenGL/ES 2.0」ではプログラマブルシェーダにも対応し、ポテンシャル的にはフル版OpenGLとほほ同等の仕様にまで高められる。
OpenGL/ES2.0はフルセットのOpenGL2.0をベースにして開発されたものになるが、両者の具体的な違いは高級シェーダ言語のサポート体制に出る。現行のフルセット OpenGL 1.5は高級シェーダ言語のサポートがオプション的な扱いであったが、フルセット OpenGL 2.0ではこれが完全標準サポートとなり、GPUドライバ側は必然的にリアルタイム高級言語シェーダコンパイラを実装することになる。
搭載するメモリを必要最低限としなければならない組み込み用途や家庭用ゲーム機においてこの仕組みは「やりすぎ」「無用の長物」になるため、プリコンパイルされたシェーダの実行のみをサポートするか、あるいは中間言語の形からの再構成/最適化までをサポートするものになるようだ。
さて、SCEは5月、突如KHRONOSにContributing Membersとして加盟を果たす。
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