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» 2004年07月29日 13時48分 公開

インタビュー:家電向けHDDに求められる条件とは?――シェア70%のMaxtorに聞く (1/2)

いくつかのHDDレコーダーに張り付けられている「QuickVIEW」というロゴマークは、Maxtor製HDDを搭載していることを示すものだ。家電分野でのブランディングを積極的に図り、HDDレコーダー市場で70%のシェアを握るMaxtorに、同市場で求められるHDDの条件、そして今後の戦略を聞いた。

[渡邊宏,ITmedia]

 HDDを搭載した家庭用レコーダーの勢いがめざましい。100Gバイトを超えるHDDを搭載した製品も珍しくなく、動作の快適さや大容量化による“撮りため”の容易さから、一度使い始めると手放せないという向きも多いのではないだろうか。

 市場に出ているHDDレコーダーを注意深く見てみると「QuickVIEW」というロゴをつけた製品があることに気が付く。これはストレージメーカーのMaxtorが提供する家電製品向けHDD「QuickVIEW」を搭載した製品であることを示している。

 米Maxtorでワールドワイド・セールス担当シニアバイスプレジデントを務めるカート・リチャーズ(Kurt Richarz)氏に、このQuickVIEWの特徴、そして同社の家電市場に対する取り組みを聞いた。

photo カート・リチャーズ(Kurt Richarz)氏。同社は日米を問わず多くのメーカーにドライブを提供しているが、「日本では“録画したものを保存する”、米国では“視聴する時間を自分でコントロールする”ことにプライオリティをおく人が多いようです」と、録画するという行為にも日米では感覚の差があるという

家電向けの厳しい条件を満たす「QuickVIEW」

 HDD市場は、HDDを搭載した家庭用機器(レコーダー、オーディオプレーヤー、ゲーム機など)が登場・普及し始めた2002年後半ごろから急速な拡大を見せている。現在もその勢いは留まることなく、「マーケットは向こう2年で規模が倍になると考えられます」とリチャーズ氏は予測する。

 同社は1982年の創業以来、PCおよびエンタープライズ向けのストレージ製品を展開してきたが、家電市場に向けた取り組みも積極的に行っており、現在ではHDDレコーダー市場において70%超のシェアを獲得しているという。こうした家電向け製品の開発・提供を進めるうちに、「PC向けドライブ」と「家電向けドライブ」では、求められる要件が一部違うことが明確になったという。

 QuickVIEWはそうした家電向けに同社が提供しているHDDドライブのシリーズ名。基本的な構造は同社製のIEDドライブと同様だが、PC向けに比べて耐衝撃性、温度変化への耐性、静音性に優れるほか、高画質な動画コンテンツの録画・再生機能についてのチューニングが施されている。

 「家電機器で利用される動画のデータはたいていの場合、PCで録画・再生されるものよりも大容量です。それに、家電機器はPCよりも内部スペースの問題から空気循環による“冷却”を期待できませんし、耐衝撃性もより高いものを要求されます。すべてにおいて、PC向けよりも厳しい要求がなされると考えて良いでしょう」

 そうした条件を満たす製品として開発されたのがQuickVIEWシリーズだ。家電機器向け製品としてより高い要求があるのならば、既存ドライブと共通の構造を用いず専用設計にしてしまうというアプローチも考えられるが、当面のところはそうした動きはないようだ。

 「PC向けドライブのように、S-ATA化がなされるという可能性はあります。ただ、PC向けドライブもまだまだ多く製造・出荷されていますので、現時点では、双方に利用できるドライブの製造が必要と考えています。もっとも、将来的には家電機器向けに特化した製品を手がけないとは限りません」

小型HDDも検討中だが、当面は3.5インチに注力――来年には500Gバイト製品も

 現在、同社が家電向けとして提供しているのは3.5インチの製品のみだが、モバイル機器にもHDDを搭載したものが多く登場している。QuickVIEWという製品群を持ち、家電機器に力を入れる同社が小型HDDを開発してモバイル機器市場に参入する可能性はあるのだろうか。

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