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家電向けHDDに求められる条件とは?――シェア70%のMaxtorに聞くインタビュー(2/2 ページ)

» 2004年07月29日 13時48分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 「HDDレコーダー向けの3.5インチ製品は今後、ますますの大容量化が進むでしょうから、現在は3.5インチの製品に注力している段階です。モバイル機器向けとしてはより小型なHDDが要求されることでしょうが、そうした製品については検討中です」

 リチャーズ氏は小型HDDを手がける可能性については否定しなかったものの、当面のところはHDDレコーダー向け製品の充実を図る方針を明らかにした。

 QuickVIEWは現在、40/80/120/160/250/300Gバイトの容量がラインナップされているが、同社では2通りの方向で拡充を目指すという。一つはドライブ自体の大容量化。一つは追加型の提案である。

 同社では、来年を目標にQuickVIEWの製品ラインナップに500Gバイトの製品を追加する予定であるほか、HDDレコーダーの容量を拡大する外付け型ユニットの提供を考えているという。外付け型ユニットが同社から発売されるのか、HDDレコーダーのメーカーからオプションとして発売されるかは未定だそうだが、興味深いアプローチ方法である。

 また、倍々ゲームのように大容量化が進む家電向けHDDはどこまで大容量化が進むのだろうか。その疑問についてリチャーズ氏は、HDDレコーダー市場の変化をまず念頭に置く必要があるという。

 リチャーズ氏は、HDDレコーダーはいずれ、標準的な放送を対象とした低価格製品と、高画質放送を対象とした高価格・高付加価値製品に2分化されるという。低価格製品は大容量のHDDを内蔵しない代わりに必要に応じて外付け型のドライブを追加する。一方、高価格・高付加価値型の製品はホームサーバとしての機能を併せ持つようになり、必然的により大容量のHDDを搭載するようになる――というのがリチャーズ氏の考えだ。

 現在発売されているHDDレコーダーは200バイトG超の容量を持つものも多いが、ホームサーバとして家族全員の番組予約・部屋への配信機能なども備えるようになると、必要とされる容量は飛躍的に増大する。

 「テラバイトクラスの容量は間違いなく必要になります。既に私たちの社内はテラバイトクラスのストレージを活用している社員がいますから(笑)」

「QuickVIEW」――信頼のブランドとしての定着を目指す

 同社が提供しているQuickVIEWだが、東芝のRD-XS43などにはそのロゴが筐体前面に貼り付けられている。このような、どういったコンポーネントが搭載されているかを示すロゴマークは「intel insaide」の様にPCの世界ではなじみのあるものだが、家電の世界においてはまれと言える。

 これについてリチャーズ氏は、「われわれにとっても、われわれの製品を搭載するメーカーにとっても、QuickVIEWがユーザーに対して“高信頼性”“ハイパフォーマンス”などの代名詞になればと願っています」とQuickVIEWの“ブランド化”を目指す意図があることを語ってくれた。

 現在のところ、「QuickVIEW」のロゴを張り付けているのは東芝とビクターの一部製品のみだが、同社では同ドライブを搭載している他メーカーへの働きかけも行っている。リチャーズ氏は「すべての取引先に向けて働きかけをしています。メーカーはもちろん、ユーザーにとってもQuickVIEWというブランドに価値があるのではないかと思っています」と自信を見せる。

 「QuickVIEWというロゴを見たときに、ユーザーが“信頼のおけるHDDドライブが入っている”“良質な視聴体験が提供される”“高性能である”といったイメージをいだいてくれたらうれしいですね」

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