「そろそろホームシアターを」と考えるユーザーが増えてきた。
ホームシアターのブームは過去に何度かあった。大画面で臨場感が高まるオリンピック、手軽に高画質を楽しめるDVDの登場、映画コンテンツが豊富な衛星放送の開始、大画面でこそ真価を発揮するハイビジョン放送(MUSE方式)などが、これまでホームシアターブームの火付け役となってきた。
今、これら“過去のブーム要因”がまとめて一気に押し寄せている感がある。
DVDは各家庭に普及して新たにDVDレコーダーという市場も立ち上がってきた。セルDVDも低価格化が進み、今や映画館のチケット代程度で映画ソフトが気軽に購入できる。衛星放送はアナログからデジタルの移行が進み、BSデジタル/110度CSデジタルの普及に加えて、昨年12月からは地上デジタル放送もスタート。高画質なデジタルハイビジョン放送が身近なものとなってきた。そして、8月にはアテネオリンピックが控えている。
大画面を気軽に楽しめるさまざまなAV機器の登場も、シアターブームに拍車をかけている。
その代表格は、液晶/プラズマなどフラットパネルディスプレイを使った薄型大画面テレビ。ブラウン管を使った従来のテレビでは36インチが最大サイズで、現実的には成人男子ぐらいの重さがあり奥行きスペースもかなり必要な30インチ以上は一般家庭には向かず、リビングテレビの主流は25〜29インチどまりだった。
薄型で軽量な液晶/プラズマテレビは、リビングテレビの画面サイズを一気に10インチ以上も押し上げた。特にプラズマテレビは50インチの大画面をテレビ台など従来のテレビスペースに置け、リビングを手軽にホームシアターへと変えることができる。
大画面テレビでは、リアプロジェクションテレビ(リアプロTV)の台頭も見逃せない。欧米では大画面テレビの主流になっているリアプロTVも、国内ではソニーしか発売していないなどほとんど普及していなかった。だが、従来のCRT管方式から液晶/DLP/LCOSなどを使ったマイクロデバイス方式が中心となり、薄型コンパクトになって課題の設置スペースの問題がクリアされてきたほか、画質も大幅に向上している。
国内でもセイコーエプソンが5月末に「LIVINGSTATION」を投入したほか、“液晶のシャープ”も60インチ以上の大画面ではDLP方式のリアプロTVを大型テレビ需要が盛んな米国などで発売していく方針を打ち出している。また、三菱電機や日本ビクターなどフラットパネルディスプレイの生産拠点を自社で持たないメーカーは、リアプロTVに積極的だ。ホームシアターの大きな選択肢に、リアプロTVが名を連ねる日も遠くなさそうだ。
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