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高精細な有機TFT液晶の実用化に道 産総研など

» 2004年08月02日 20時16分 公開
[ITmedia]

 産業技術総合研究所(産総研)と日立製作所、光産業技術振興協会は8月2日、駆動スイッチに有機TFT液晶としては世界でもっとも高精細なパネルを試作したと発表した。有機TFTは印刷法により低コストで生産できるのが特徴だったが、解像度を高めるのが難しかった。

 試作した液晶ディスプレイは1.4インチ、80×80ピクセル表示(80ppi)。画素サイズは318×106μメートルで、有機TFTディスプレイとして世界で最も高精細だという。

 有機TFTは、薄型ディスプレイを、低コストかつ常温プロセスで大量生産できる技術として、国際的に研究が活発化している。しかし従来技術では、素子作製工程で生じる性能劣化をTFTサイズを大きくすることでカバーしていたため、高精細パネルの製造が難しかった。

 産総研などは新たに、有機TFTの性能劣化を抑える塗布保護膜を開発するなどし、小サイズの有機TFTで性能を高めた。試作したパネルは一般のシリコンTFT液晶に近い精細度を持ち、有機TFTを液晶ディスプレイに応用する道を開いたとしている。

 有機TFTは、印刷法を使ってフレキシブル基板上にも作製でき、カラー電子ペーパーを実現する有望技術としても期待されている。試作品は保護膜以外は真空プロセスとフォトリソグラフィを使っているが、今後は印刷技術による高精細パネルの開発に取り組む。

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