夏休み最後の週末、コンピュータ著作権協会(ACCS)の主催による「親と子の著作権教室」が行われた。この催しは今回で12回目を数えるもので、毎回、小中学生とその保護者を対象に、イベントやクイズを交えながら著作権の基礎をレクチャーしている。
今回の会場となった池袋サンシャインシティに集まったのは、小学生から中学生の児童とその保護者約40人。著作権に関する○×クイズやラジオ制作の現場を体験し、著作権への意識を高めるコーナーなどが用意された。
○×クイズでは、「小学生の描いた絵にも著作権はある?」、「著作権で絵を保護するためには届け出が必要?」といったものから、「街の歴史をインターネットで調べて、調べた結果の文章や写真を授業の一環として壁新聞にまとめて校内に掲示した。この場合、元の文章を書いた人や写真を撮った人の許可を求める必要はある?」など、著作権上の例外措置に踏み込んだ問題までさまざまな問題が出題された。
クイズに参加した子供たちはほとんどの問題に正解していたが、「授業の一環として」や「お金を取らないならば」という例外的な著作権の運用については知らなかった子供も多かった様子。「分かんないなー」などと言いながらも、友達同士で相談しながら著作権の基本的な考え方を学んでいた。
ラジオ番組制作は本物の放送と同様に、キューシート(進行表)を自分たちで書き、BGMを選曲し、実際に自分たちで話すという、番組を作る過程を体験できた。機材もプロムナードが提供する本物で、BGMはトーリューモン、ジングルもエフエムサウンド千葉(bayfm78)が提供するなど、本当のFM放送局と同じ環境が用意された。
番組制作を体験した子供たちは口々に「マイクを持つと緊張する」などと言いながらも、その表情は非常に楽しげ。収録時間はわずか10分足らずだったが、常に笑みがぼれる制作現場だった。
今回が初の試みというラジオ制作体験について、ACCSの久保田裕専務理事・事務局は「ラジオの場合、他人の作った曲(他人が著作権を持っている曲)を番組内で使いながら放送を作り上げていくために、著作権のルールを知らないと作ることはできない。ラジオ番組の制作を通じて、著作権が複合的な要素を含むことを体験してほしい」とその狙いを語る。
ACCSというと不正コピーに対する警告活動などが目立つが、教育現場への著作権・情報教育支援にも力を注いでいる。久保田氏は「教育といっても、PCの画面を通じて行ってはあまり感覚には響かない。ラジオ制作体験のように五感に訴えるような仕組みの方が効果的」と、さまざまな手法で積極的に情報教育活動を支援していく方針を示した。
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