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ソフトバンクが直収型で固定電話に参入

» 2004年08月30日 21時28分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ソフトバンクは8月30日、固定電話事業に参入すると発表した。日本テレコムの回線を使い、NTT東西地域会社より月額基本料が最大200円程度安い「おとくライン」を12月1日からスタートする。加入者線以外は自前の設備を使う直収型で料金を抑える。「NTTが独占している基本料市場に本格参入する」(孫正義社長)。

「競争がない市場というのは、本来あってはならない」と孫正義社長

 新サービスは、ユーザー宅とNTT局舎間の銅線(ドライカッパー)をNTTから借り、NTT局舎内に設置した日本テレコムの交換機に接続する仕組みにより料金を下げた。

 電話加入権(NTTの施設設置負担金7万2000円)やNTTとの契約は不要で、基本料、通話料ともに日本テレコムに支払う。電話番号はNTT回線と同じものがそのまま利用でき、110番・119番通話も可能。昨年6月に平成電電がスタートした「平成電話」と同様の仕組みだ。

マイラインでは、NTTの交換機を経由するため、NTT側に基本料金を払う必要があった。おとくラインは自前の交換機を使用するため、NTTに料金を払わなくて済む

 初期費用として1050円(税込み、以下同)が必要。月額基本料金は、個人向けが1417円−1627円、法人向けが2205円−2520円と、NTTのサービスよりも最大200円程度安い。これに加えて、工事費として月額105円×60カ月支払う必要がある。

 市内通話の通話料金は3分8.925円。市外通話では、個人向けなら最大50%、法人向けなら最大55%を割り引くサービスも提供する。

 ISDNサービスも提供するほか、ADSLは、サービス開始当初からYahoo! BBが利用可能。他のADSLサービス事業者とも交渉して他社サービスも順次利用可能にするとしている。

 12月1日のスタート時点で1000局舎をカバーし、全国主要都市で利用できる予定。2005年中に3500局舎に拡大する計画で、同年半ばまでに人口カバー率94%を達成するとしている。

 申し込み受け付けは9月1日から。11月30日までに申し込めば、指定した3つの加入電話番号への通話が1年間無料になる。「個人の場合、上位3番号への電話が全体の通話料の75%を占めている。法人でも3番号に1年間無料というのは大きい」(孫社長)。

 キャンペーン期間中に申し込めば、特定時間帯の国内加入電話への通話が9割引きになるほか、ナンバーディスプレイなど付加サービスも3カ月間無料で利用可能。初期費用も無料になる。

早期黒字化に自信

 「日本テレコムの買収はこのサービスのため。時間とインフラを買った」──8月30日、都内で会見した孫社長は、新サービスはIP電話以上の価格インパクトをもたらすと語った。

 同社によると、国内固定電話の基本料金市場(ナンバーディスプレイなど付加サービス含む)は1兆8000億円で、NTTの寡占状態。ADSLで激しく戦ってきたNTTの“本丸”に安価な新サービスで切り込む。

 固定電話利用者は漸減傾向にあるが、高額な加入権料から固定電話加入をためらっているユーザーを取り込めると見ている。またNTTなど他社から日本テレコムに着信する通話の場合、各社から支払われる接続料収入も見込める。

 NTTに支払うドライカッパー使用料は1契約当たり月額1400円程度だが、それでも「十分な収入が得られる」(孫社長)。日本テレコムがNTTに支払っている年間約730億円の接続料も、独自交換機の設置で削減可能だ。

 設備投資コストは、ソフトバンクグループの負担分として数百億円程度に加え、コールセンター業務で提携したベルシステム24(関連記事参照)など販売代理店も一部負担する。ユーザー宅にモデムを設置する必要があるADSLより顧客獲得コストなどは低く、先行投資の回収は容易と見る。「Yahoo! BBにかけた何千億というコストよりはるかに安く、黒字化に何年もかからない」(孫社長)。

 IP電話サービス「BBフォン」との住み分けについては「IP電話よりも安定した回線という位置付け」(孫社長)。企業向け回線としても安心して使ってもらえる安定したサービスとして売り込む戦略だ。

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