松浦:うーん、Garage Bandはなんか仕組み自体が好きじゃないんですが。そうですね、なんでだろう。コンピュータの中にあるものだけで、全部やろうって発想が嫌い。ここ数年、コンピュータの中だけで音楽作るのが嫌になってる。
伊藤:それは、長年それをやってきて、仕事になっちゃってるからじゃない?
松浦:そうかな。なんか、ヘッドホンで音楽ってのもなんか嫌で、一度空気に放ってやらないとダメみたいな気持ちがある。
一方、伊藤氏が主宰するのは「デジオ」。基本的にしゃべりのMP3データを聞くことができる「ラジオ」サイトだ。
伊藤:タナカカツキという漫画家がいまして、インターネットラジオをやってみたいという。どうしようかいろいろ考えたんですが、結局MP3データを単にサイトにおいただけってことにした。それを「ラジオ」だって言い張るのも面白いかと。
そしたら、彼、毎日UPするんです。曲は(著作権上の理由で)かけられないから、ただしゃべるだけ。自宅でノートパソコンの前で内蔵マイクに向かってぼそぼそしゃべる。そのうち、彼はやたら歌いだしたくなる。それが、聴いてて気持ちいい。
そういえば、松浦さんは後ろの音が気になるそうで。
松浦:(デジオの番組の)「伊藤ガビンのデジオ批評」、僕は全部聞いているんですけど、ガビンさんがしゃべっている後ろで、PCの音がシュワーって鳴っているのを聞いてます。防音室だとつまらない。
伊藤:昔、コンピュータが出てきたときに、「テキストデータじゃだめだ。人間が書いた手紙じゃなきゃダメ」みたいな意見があって、反発していたんですが。最近、なんか「コーヒーのシミのついた手紙」がいいなあと思えるような歳になってきた。内蔵マイクで録った音っていうのは、そういう感じ。
客席:僕なんかは、自分の声聴くのとか好きじゃなくて、しゃべるよりも文章のほうがいいんですが、でも、デジオですと「しゃべりだから言える」という人もいて、それが面白いと思いました(*7)。
松浦:いま、しゃべっているじゃない?
客席:それは、このマイクだから。
というわけで、結局マイクが主役になってしまった。客席からのコメントは思ったほどには入らなかったのだけど、考えてみれば、目の前であのマイクが光っているとき、客席で懐中電灯を光らせても、そんなの見えなかったのかも。
イベントの最後は、松浦さんのミニライブ。NHKみんなのうたの6、7月の曲だった「ありがとサンキュ〜」。共演はAIBO。
*7 ショーでは、これは最後にマイクを客席に回したときにでた発言なのだけど、構成上ここにいれた。
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