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きょうは部屋でゴロゴロしながら“枕”で音楽を楽しんだレビュー(?)(2/2 ページ)

» 2004年10月22日 22時37分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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photo けっこうメカニカルな枕の側面。左側には電源ランプ、電源ボタン、音量ツマミ
photo 右側には、直接入力する場合の音声入力端子をはじめ、ACアダプタ、充電ランプが並ぶ
photo 背面をめくるとリチウムイオンバッテリーが出てくる。ワイヤレス伝送&バッテリー搭載で完全ワイヤレスな試聴環境だ。充電時間は約5時間、バッテリー駆動時間は約8時間

 骨伝導といえば、携帯電話にも採用されて注目を集めた、骨を使って音を伝える技術(あるいは伝わる現象)のこと。空気や鼓膜を通さず、骨から直接「蝸牛」と呼ばれる感覚器官に音が伝わる仕組みで、もともと聴力に障害を持つ人向けの電話機や補聴器などに利用されていた。詳細はこちらを参照してほしい。

 プライベート音枕では、本体の中央に近いところに、ソニックスピーカーが2つ仕込まれている。ちょうど頭を真ん中に載せたとき、ステレオ感が出る仕組みだ。実際に使ってみると、普段聞く音とはちょっと違う。低音が不足していて、はっきりいって音楽鑑賞には向かないだろう。ただし、話し声中心のテレビやラジオを聞くぶんには不満は感じない。

 音質はともかくとして、骨伝導はなんだか不思議な感じがして面白い。そういえば、骨伝導式の携帯電話が登場したときも、新しいモノ好きのスタッフ達が編集部内をたらい回しにしていた(なんだかマヌケな関連記事を参照))。このときの検証では、頭頂部や後頭部はもちろん、首、顎、頬、そして鎖骨あたりまでなら、なんとか相手の声が聞こえた。

 枕の場合、頭蓋骨を枕に押しつける形になるわけだが、髪が邪魔になるのか、あまり大きな音では聞こえない。音量を上げ、いろいろ体勢を変えてみたら、よく聞こえる体勢に落ち着いた。とりあえず、仰向けでも横向きでもテレビのセリフを聞き取れるポイントはあるから、使いながら試すのが良さそうだ。意外とよかったのは、常用している低反発枕の上に置いたとき。下が低反発素材のため、そんなに頭は持ち上がらないし、枕の形がフィット感を強くしてくれた。

 さて、骨伝導式を枕に採用したメリットは、まず騒がしい場所でも明瞭に音が聴こえることだ。たとえば家の中で子ども達が騒いでいるような場合でも、テレビや音楽はちゃんと聞こえる。逆に、枕から出る音は外に漏れにくいから、周囲の人に迷惑がかからない。近くで奥さんや子どもが寝ていても、起こしてしまうことなく、テレビや音楽を楽しめる。

 ヘッドフォンのように耳を塞がない点も利点だ。音楽を聴きながら、子どもたちの様子をうかがうことだってできるし、逆に、親の目を盗んでテレビゲームに興じたりするときにも便利だ(見つかったら、すかさず寝たふり)。

 もちろん、電話や玄関のチャイムを聞き逃すこともないし、目覚ましの音だって聞こえる。イヤフォンやヘッドフォンを装着したまま寝てしまい、翌朝、目覚ましの音が聞こえなかった、なんて経験はないだろうか?(私はあります) 外の音をシャットアウトできない、あるいはしたくない場面に適している。

 なお、本体の電源は、音声信号が2分間ないと自動的に切れる設定になっているため、そのまま寝てしまっても構わない(AV機器のほうは別途対策してほしい)。ただし、電源が切れた後に音声入力が復活しても、自動的にスイッチは入らないので、そのときは手動だ。

 ちょっと残念なのは、ワイヤレス伝送が赤外線方式という点だ。直進性の高い赤外線では、送信機と枕の間に障害物があると音声が届きにくい。プライベート音枕では、送信部は幅広く作られており、また枕側には左右2カ所の受光部があるため、実用上は不便を感じない。ただ、リビングルームなどは、テーブルやソファの背もたれなど、意外と障害物が多いものだし、AV機器とは別の部屋で使いたいケースもあるだろう。設置の柔軟性を考えれば、やはり電波式を使ってほしかったところだ。

 逆に気に入ったのは、枕本体の背面に用意された“ベルト通し穴”。細かいことだが、ここにベルトを通せば、背もたれが斜めになったリクライニングチェアーやマッサージチェアーにも固定できる。寝るための枕ではないだけに、こうした細かい部分の使い勝手は意外と重要だと思う。

photo 背面には“ベルト通し穴”。リクライニングチェアーやマッサージチェアーに固定できる

 パイオニアの「music pillow」は、屋外でも使えて汎用性の高い、お手軽&お気楽なスピーカー入り枕だ。電源も要らないため、ポータブルオーディオと組み合わせて、ベランダや屋上でも音楽を楽しめる。

 一方、骨伝導式の「プライベート音枕」は、音楽鑑賞には適さないものの、アイデア次第で生活のさまざまなシーンで使えるという印象を受けた。やはり、想定されるユーザーは、家族の多いお父さんたちだろうか。家族にも気を配りながら、ゴロゴロしながら好きなテレビ番組を見る。そんな光景が目に浮かびそうだ。

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