「満足以上の数字が出た」――10月28日、2004年4−9月中間期連結決算を発表した松下電器産業の中村邦夫社長は胸を張った。上期として3期連続の増収・増益を計上。改革の成果を見せ付けた。
売り上げ高は前年同期比19%増の4兆3185億円、営業利益は同96%増の1563億円、純利益は同143%増の562億円となった。
業績をけん引したのは、オリンピックに乗じて売り上げを伸ばしたプラズマTV「VIERA」と、新製品がヒットしたデジタルカメラ「LUMIX」だ。
プラズマTVの売り上げ高は前年同期の2.1倍に伸び、1000億円の大台に達した。「オリンピック商戦に圧勝した」と同社の川上徹也専務は自信を深める。シャープなどが大型の液晶TVで攻勢をかけているが、中村社長は「大型TVではPDPの方がコストや画質などで有利。液晶を凌駕できる」と意に介さない。
8月に発売したデジカメ新製品のうち、手ぶれ防止機能付きコンパクト型「LUMIX DMC-FX7」が特に好調。利益を押し上げた。
猛暑でエアコンも売れたほか、半導体や電子部品も好調だった。
ただ、DVDレコーダー「DIGA」は、五輪需要で販売台数こそ同1.3倍に伸びたが、価格が下落したため売上高は横ばいにとどまった。
パナソニックモバイルコミュニケーションズの売り上げ高は、前年同期比1%増の2903億円。営業利益は同82%減って18億円。端末開発の遅れや海外市場の不調が響いた。
連結子会社の日本ビクターは最終赤字を計上した(関連記事参照)。中村社長は「DVカメラの不振と、D-ILA関連製品の発売延期が主因。下期は急回復する見込みだ」とした。
第2四半期のみの売り上げ高営業利益率は5.1%。同社は営業利益率5%を2006年度の目標として掲げていたが、四半期ベースでは早々にこれを達成した。ただし「通期で5%を超えたら、松下は回復したと言えるだろうが、そこに至るにはまだ厳しい」(中村社長)と、慎重な姿勢は崩さない。
下期は、地上デジタルTV視聴エリアの拡大によりデジタルTV需要の拡大が見込めるほか、プラズマTVは民生で世界最大となる65V型モデルを投入するなどして拡販。DVDレコーダー販売も加速するため、国内AVを中心に好調が続くと見込む。材料高・原油高など不安定要素もあるとしながらも、第3四半期決算発表時には通期見通しを上方修正できそうだとした。
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