パイオニアは、510GバイトのデータをDVDサイズのディスクに格納することを可能にする技術を開発した。同社の広報担当者が明らかにした。
この技術は、電子ビームを使って光学ディスクに刻印するテンプレートを作成すると広報担当のミチコ・カドイ氏は先週明らかにした。
パイオニアにはこの技術をすぐに商業化する計画はないが、これを使えば、書き込み可能なディスクでも読み取りのみのディスクでも、現行の12センチDVDの100倍を超える容量にできると考えている。
「12センチディスクで348Gバイト、424Gバイト、510Gバイトの記録に成功した」(カドイ氏)
光学ディスク技術における最近のほかの先進技術と同様に、パイオニアもデータをより近接した状態で格納することで容量を増やす手法に依存している。
現行の標準的なDVDの容量は4.7Gバイト。データは1か0として読み取られる「ピット」としてディスクに格納される。現行ディスクでは、ピットは740ナノメートル間隔で並んでいる。
最近のディスク技術は、波長が比較的短い青色レーザーを使ってDVDの約5〜6倍の容量を実現している。レーザーの波長が短ければピットのサイズとその間隔を縮小できる。
パイオニアの電子ビームは、ピットの間隔をもっと小さく――わずか70ナノメートルにまで――でき、それにより510Gバイトのディスクを実現できる。
これだけ大きな容量はコンシューマー市場向けとしては過剰かもしれないが、エンタープライズ市場には有用かもしれないとIDC Japanのストレージ担当リサーチマネジャー、鈴木康介氏。
「非常に興味深い。特にパイオニアが2006〜2007年にこれをリリースできれば、市場への影響は大きいだろう」(同氏)
実際、250Gバイトでも十分競争力のある技術になるはずだと同氏は言い添えた。
パイオニアの技術は、HD DVD、Blu-ray Disc、UDO(Ultra Density Optical)などの新しいタイプの光学ディスクフォーマットで使われているレーザー技術よりも先進的だと同社は語る。
これらディスクの単層バージョンの容量は20G〜30Gバイト、2層バージョンは約50Gバイト。複数の企業が、さらにストレージ層を追加することで200Gバイトを達成するというロードマップを掲げている。
パイオニアが電子ビーム技術を市場に投入する場合、青色レーザーを使ってUDOディスクを開発しているPlasmonなどの企業と競合することになる。これらのUDOディスクはDVDよりも若干大きく、容量は30Gバイト。Plasmonは、2006年半ばに60Gバイトにディスク容量を拡大できるはずであり、また2008年末までには120Gバイト版を投入できるかもしれないと話している。
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