ビギナーのみならずプロのサブ機でも超面白い――E-300(1/4 ページ)

» 2005年01月12日 11時21分 公開
[山田彰一,ITmedia]

レンズセットで10万円を切る戦略モデル

 オリンパスが「E-1」を発売したのが約1年前。そのときは長い間待たされた感があったのだが、今回はとても早く「E-300」が出てきた。

 TVCFでは「8メガピクセル」「ダストリダクション」をうたっているが、そのほかにも筆者は、安い、収納しやすい、そして何よりフルフレームトランスファ方式による広いダイナミックレンジに注目したい。

 まずレンズセットで実売10万円を切る価格は申し分ない、ただ作例でも述べるが、少し感じるのは、このレンズで満足できるのか? という点だ。このカメラの画質のポテンシャルがとても高いだけに、それを引き出すにはセットレンズはやや物足りなさを感じた。

 上部がフラットなこの形状、オールドファンなら「オリンパスペンF」を思い浮かべるのではないだろうか。まさにデジタル時代におけるペンFの逆襲と感じる。

画像 オリンパスのE-300ボディと、今回評価した「ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6」「ZUIKO DIGITAL 40-150mm F3.5-4.5」。ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6がレンズセットに付属する

 この形状は実に収納しやすい。他社のデジタル一眼レフだとゴミの心配から、レンズをつけたまま、レンズ側を下向きにカメラバックに収納しているユーザーは多いと思う。デッドスペースだらけになる収納法だ。しかしE-300はダストリダクションシステムがあるため、気軽にレンズを外すこともできる。その上にこの形状なのでカメラバックの空きスペースにすっと入ってしまう。

 ダストリダクションは非常に評価ポイントが高い。レンズ交換が気軽なため、他社製DSLRとは使い方、撮り方が変わってくる。ただ、そこをもっと活かすためには単焦点のレンズラインアップが多くあってほしいのだが。

 ゴミ対策として他社では、ニコンの「イメージダストオフ」というのもある。ただしこれはソフトウェア上での処理であり、RAWのみでの対応である。

 またカメラのレスポンスもなかなかのものだ。起動には少しかかるが、この間にダストリダクションを行っているので、逆にストレスを感じない。青色LEDがこのとき点滅するのも精神的に安心感を与える。またシャッターラグはE-1より短い感じだ。AFも含め、おおむね操作のレスポンスは小気味よい。ところが、1ダイヤル1画面という仕組みのため、手間数が増えるのが難点だ。

 たとえば、シャッタースピードや露出補正を変えるのに2〜3アクション必要なのだ。しかも書き込み中は画面表示が使えないため、書き込みが終わってから2〜3アクション。書き込み中に画像を見たり、画面で操作したりできないだけでもストレスなのだが、この点では多重苦を強いられる。

 まあ「画面やダイヤルを削ったから安くできた」と言われればしょうがないとも思うが、それならばせめて書き込み中でも画像を見て拡大や削除処理ができるようになってほしいものだ。書き込みスピードそのものより、これができるかどうかはもっと大きな違い、と筆者は感じている。キヤノンも「EOS 10D」ではこれができなかったが、「EOS 20D」でできるようになったという実例もある。

 露出計は「ESP」という測光方式なのだが、どうも画面中央部の露出に大きく影響を受けてしまう感じだ。画面まんなかに、白や黒があると露出が狂いやすい。この点は他社の分割測光などのほうに安心感がある。

 またオートホワイトバランスが蛍光灯やミックス光に弱い印象だ。蛍光灯下での色のばらつきはフリッカー以上に大きく感じる。

 しかし、そんな点があっても、もっともっと大きなプラスポイントがある。いくつか、難点を述べたが、それはこのカメラの持つメリットに比べれば些細な問題だと思う。E-300のもつ大きなメリット、それはフルフレームトランスファ方式による広いダイナミックレンジである。

 各社とも、ダイナミックレンジは重要課題である。富士フイルムでは「FinePix S3 Pro」でスーパーハニカムCCDや14ビットRAWを使ってダイナミックレンジを広げたが、機会があればぜひともオリンパスのシステムと比較してみたい。オリンパスのほうは、ユーザーにとって手軽な感じがある。JPEGでさくさく撮って、それでいて全カット、ダイナミックレンジが広いのだから。広いダイナミックレンジとダストリダクションは他社にはぜひとも見習っていただきたい。

 絵作りは、E-1にくらべ、シャープネスが強く、ぱっと見できれいな初心者向けにセッティングされている。800万画素ということもあって、後処理や拡大補間などができないデジタル初心者がダイレクトにプリントすることを考慮されている感じだ。またJPEGがうまくできていて、RAWとの画質の違いをあまり感じなかった。

 ダストリダクション、広いダイナミックレンジ、そして収納しやすい形状、プロにとっても、普段はカメラバックの隅に潜んでいて、プライベートでは主役、そんな使われ方も十分ありうる。

 単にエントリークラスと位置づけるにはあまりにもったいない。むしろハイエンドなクラスのデジタル一眼ユーザーにこそ一度試してもらいたい。

 この先鋭的なカメラはE-1ユーザーのみならず全てのデジタル一眼ユーザーにプラスのもう一台となることを強くお勧めできる。もちろんエントリーにはイチオシの1台だ。

今後のオリンパスに期待するところ

 E-300ははっきり言って素晴らしい。フルフレームトランスファ、フォーサーズシステム、ダストリダクションというメリットを考えると、ぜひとも単焦点レンズのラインナップを増やして欲しい。

 筆者としては、本当のプロ機が欲しい。たとえば、シャッターラグのない高速連写機である。フォーサーズがシャッターラグのない8コマ/秒以上の高速連写機を出したとき、プロカメラマン業界に革命が起こるとも思う。

E-300、作例

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