MP3.comの創設者で、デスクトップLinux企業Linspireを経営するマイケル・ロバートソン氏は2月10日、新しい音楽ダウンロード企業と「MP3tunes」というサービスを立ち上げる計画だ。
Apple ComputerのiTunesやMicrosoftのMSN Music Storeなどほかのオンライン音楽サービスとは違って、MP3tunesは、楽曲のコピーを防止するデジタル権利管理(DRM)技術を組み込んだフォーマットを使わず、代わりにDRMなしのMP3フォーマットを使用するとロバートソン氏は取材の中で語った。
MP3tunesは立ち上げ時にはインディーズレーベル・アーティストの楽曲200〜300曲を用意し、1曲当たり88セント、あるいはアルバム当たり8ドル88セントで販売する予定だ。同氏によると、MP3tunesはまだ大手レーベルには提携を持ちかけていないという。
これら楽曲はMP3フォーマットで提供されるため、ユーザーは購入した楽曲をほとんどの音楽プレーヤーやコンピュータで利用でき、楽曲のコピーやCDへの焼き付けの回数制限もないとロバートソン氏。ほかのほとんどのオンライン音楽サービスは、ユーザーが購入した楽曲を利用する方法に制限を設けている。
「自分が購入するすべての楽曲、すべてのデバイスに果物のロゴが付いている世界はいやだ」とロバートソン氏はAppleを指して語った。Appleは、DRMを使ってiTunesストアで購入した楽曲をiPodでしか再生できないようにしていると批判されている。
「私はコンシューマーが選択肢を持っている世界の方に興味がある。どの携帯プレーヤー、ソフト、OSでも選べて、手持ちの音楽を聴ける世界だ。それこそがMP3のもたらすものだ」(同氏)
同氏は、たとえMP3tunesに著作権保護がなくても、大手レーベルは同サービスを介して音楽を提供したいと思うだろうと期待している。「そうなれば、明らかに現状から変化したと言える。彼らはDRMベースのシステム向けに楽曲をライセンスし、非DRMベースのシステムにはライセンスしてこなかった。われわれは既成の枠を超えようとしている」
音楽ダウンロードサービスに加え、ロバートソン氏は来週、新デバイス「MP3beamer」を発表する予定だ。この製品はホームステレオなどのデバイスに接続できるデジタル音楽ハブで、これを使えば複数の場所から音楽にアクセスすることができるという。
MP3beamerは来週オンライン小売業者から提供開始される。同製品の詳細は来週明らかになる。
ロバートソン氏は1997年にMP3.comを設立。同サイトは、ユーザーが手持ちのCDの楽曲にオンラインでアクセスできるサービスを提供したことでレコード業界から攻撃され、2001年にVivendi Universalに3億7200万ドルで売却された。これはロバートソン氏にとって予期せぬ収入となった。
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