松下電器産業が2月4日に発表した2004年度第3四半期(2004年10月〜12月)の連結決算は、前年同期比で増収増益。通期の営業利益見込みは前回予測より200億円増の3000億円に上方修正した。けん引役はプラズマTV「VIERA」。同社は今後もPDPに経営資源を集中し、事業の核に据える計画だ。
「PDPは“Powerful Digital Profit”の略なんじゃないか」――同社の川上徹也専務は口元をほころばせる。プラズマTVの通期売上高は前期比1.8倍の2300億円になる見込み。国内・海外ともに大きく伸びた。
勝因は、価格下落に巻き込まれなかったこと。「プラズマTVの国内市場価格は第3四半期だけで2割下がったが、VIERAは1割減にとどまった」(川上専務)。大型化・高画質化して付加価値を高めながら、デバイスから完成品までカバーする垂直統合生産でコストを削減し、利益を確保した。「デジタル家電市場は、組み立てだけでは生き残れない」(川上専務)。
販売面では、量販店での画質の比較展示が奏功したほか、専門店も健闘。国内プラズマTVの6割を専門店で売り上げた。「デジタル家電のように操作が難しいものは、専門店の丁寧な説明やサポートが強力な武器になる」(川上専務)。全国5000店以上ある系列店「スーパープロショップ」(旧ナショナルショップ)の約6割が2桁成長をとげた。
同社によると、2004年度の世界PDP市場は270万台。2006年度には700万台に伸び、出荷金額で液晶TVを追い抜くという。特に、37インチ以上の大型TVは9割以上をPDPが占めると予測している。
市場の拡大を見据え、生産能力を順次増強する。2004年度のPDP生産能力は年間108万台だが、2005年11月に稼働する尼崎工場で生産能力を330万台にアップ。2006年度中に同工場の第二期設備を稼働して480万台まで拡張し、世界シェア4割を目指す。
第3四半期、デジタルカメラは「LUMIX FX7」がヒット。「全く価格下落しなかった」(川上専務)と胸を張る。ただ、DVD製品は価格下落に引っ張られたという。DVDレコーダー「DIGA」の販売台数や売上高は明らかにしなかった。
ノートPC「Let'snote」は好調。携帯電話は不調だった。端末投入の遅れなどが響き、パナソニックモバイルコミュニケーションズの64億円の営業損失。携帯・PC市場低迷のあおりを受け、半導体も不調。デバイス事業の売り上げは、前年同期比18%減となっている。
連結売上高は2兆2965億円と前年同期比13%増、営業利益は883億円と同24%増、税引き前利益は同横ばいの831億円、純利益は同47%増の356億円となった。
通期の営業利益は当初予測から200億円増の3000億円に上方修正する。売上高予測は従来通り8兆8000億円で、売上高営業利益率は3.4%と、同社が目標とする5%にはまだ遠い。
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