松下電器産業と東レは5月18日、両社の合弁会社でPDP(プラズマディスプレイパネル)の生産を行う松下プラズマディスプレイの第3工場を兵庫県の臨海地区に建設すると発表。同日都内で記者会見が行われた。
新工場の生産規模は42型PDP換算で月産25万台となり、年間生産規模は300万台以上に及ぶ。「PDP生産では世界最大規模の量産工場となる」(同社)。建設予定地は兵庫県尼崎市の関西電力尼崎第3発電所の跡地で、総投資金額は950億円。今年9月から着工し、2005年11月の量産開始を目指すという。
これによって松下電器産業のPDP生産拠点は、松下プラズマディスプレイが持つ既存の第1/第2工場と今回の第3工場、そして中国の上海松下プラズマディスプレイ社を合わせた計4工場となり、総生産規模は年間450万台(2007年度)に到達することになる。
パナソニックAVCネットワークス社上席副社長で映像事業グループ長の上田勉氏は「プラズマTV市場は全世界同時に拡大。2008年には1000万台市場となり、金額では3兆円規模になると予測している。当社PDP生産能力規模は今年度100万台だが、2005年度には茨木の第2工場本格稼動によって180万台になるなど生産能力の増強を図っている。だが市場の急速な拡大によって、さらなる生産拠点の拡充が必要となってきた。新工場により、うす型テレビのグローバルシェアNo.1を目指す」と新工場建設の目的を語る。
松下はPDP生産にあたり、映像処理技術/半導体技術/パネル技術など自社の技術に加えて、材料分野や設備分野などでは他社との協業を積極的に推進。東レは、感光性ペースト技術や精密塗布技術といった独自技術をPDPのキーデバイスの1つである背面板製造技術に生かし、PDPの性能向上や松下プラズマディスプレイの工場での生産効率アップをサポートしてきた。
「今年4月からスタートした中期計画(NT2)の重要課題の1つに、“先端材料の事業拡大”がある。有機合成化学/高分子化学/バイオケミストリーといった当社のコア技術を先端材料開発に生かし、繊維など従来分野だけでなく情報通信分野など成長領域に適用していくことで事業拡大を図るもの。PDP事業もこの中の重要な案件。今回の新工場でも、材料開発プロセス開発を積極的に推進し、さらに進化した背面板製造技術を提供していく」(東レ電子情報機材事業本部技術生産担当の岡研一郎氏)
新工場では次世代のプロセス技術/生産方式を導入。デバイスからセット品までの一貫生産体制と最新の多面取り方式を採用することで、よりスピーディでフレキシブルな製品供給体制を整えていく方針。
「大型ディスプレイでは、性能/消費電力/コストなどあらゆる面でPDPが有利。2005年度中には、42インチのハイビジョン対応モデルで1インチ1万円を達成していきたい。2008年には35インチ以上の大型テレビの4割以上(台数比)がPDPになると予測している。松下グループは2年ごとに新工場を展開するなど積極的な投資を行うことで市場ニーズに迅速に対応していく」(同社)
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