米MicrosoftとIntelの「Digital Joy(デジタルの喜び)」キャンペーンを覚えているだろうか? 格好のクリスマスギフトとしてWindows Media Center PCを売り込んでいたキャンペーンだ。やれやれ、あれが「喜び」だと言うなら、私は迷わず「悲嘆」の方を選ぶ。
私としては、うるさい音を立てる見苦しいWindowsマシンを自宅の居間に置くぐらいならば、(事業家の)ドナルド・トランプ氏と一緒に核シェルターに閉じ込められる方がましだ。だがこの1年間、MicrosoftはMedia Centerに改良を重ねてきた。今では同OSはサードパーティのセットトップボックスを介して、PCからユーザーのホームエンターテインメント機器にTV放送や録画済みの番組、音楽、画像などをストリーミングできる。そしてCreativeやiRiverなどの企業は、ユーザーが自分の好きなTV番組(ただし、Media Center PCに録画する必要がある)を持ち歩ける機能を備えた携帯プレーヤーを提供している。
そこで私も、自分の居間にWindowsマシンを1台置いてみることにした。私が購入したのはDell Dimension 8400 Media Center PC(3200ドル)だ。このPCには、Linksys A+Gワイヤレスルータ(100ドル〜150ドル)とLinksys Media Extender(250ドル〜300ドル)がバンドルされ、ワイヤレスネットワーク中にコンテンツをストリーミングできるようになっている。そして実際このPCを購入し、私は思わず息をのんだ。
システムのセットアップは「喜び」の権化だった。まず私は古いWi-Fiネットワークを外し、Linksysを使って802.11a/gネットワークをインストールし、ケーブルスプリッターを再構成して、幾つか小さな問題(離陸時にエンジンの回転数を上げているセスナ機のような音を立てている、いかれたシステムファンも含め)に対処した。そして私は、あらゆる点で相性の合わないDellとLinksys Extenderの仲を取り持つべく、結婚コンサルタントのように振る舞わなければならなかった。
それから3日後、私はようやく、システムをなんとか機能させることに成功した。TVで音楽を再生したり写真を表示したりはできたが、ビデオのストリーミングでは依然としてフレームが飛んだり、画面が白くなったりすることがあり、チャンネルを変えたときにも遅れが生じた。ビル・ゲイツ氏は「シームレスなコンピューティング」をうたっているが、彼が頭の中に描いているのはこうした状態ではないはずだ。
また別の問題もあった。HBOチャンネルでディズニー映画『The Mighty Ducks』(邦題『飛べないアヒル』)を見ようとしたら、「Extenderは『制限付きコンテンツ』は再生できません」という趣旨のエラー画面が表示された(おそらくこれは、この映画が「強いアヒルたち」を意味する原題にふさわしい振る舞いをした唯一の機会だった)。Dellによれば、この問題はHBOチャンネルに限定したものという。本稿の掲載時までには、パッチが提供されているはずだ。
確かに、デジタルコンテンツをコンピュータで管理することには意味がある。それでなくても、このDellのシステムは非常に高性能で、Windows Media Centerのインタフェースもそれほど悪くない。だが私は、家庭用の電化製品には、3日間もトラブルシューティングを行った後ではなく電源を入れた時点ですぐに使えるようであって欲しい。DVR(デジタルビデオレコーダー)機能付きのセットトップボックスや、簡単に使えるPrismiq MediaPlayerなど、ほかにもっと安くて使い勝手の良い代替選択肢があることを考えれば、Windows Media Center 2005 PCに何千ドルものお金をつぎ込むのは愚かなことと言えるだろう(DVR機能付きのMediaPlayerは2005年半ばに登場する見通しだ)。
真の問題は、Microsoftがネットワーク化された未来の家電製品を動かすソフトを所有したがっていることだ。彼らの野望は居間だけに留まらず、ガレージや台所、お風呂場にまで及ぶだろう。私は最近、トイレ(My Toilet)のファームウェアをアップグレードするまで電子レンジ(My Microwave)が動かないという理由で夕食を準備できない、といった悪夢にうなされている。
今あるステレオやTVと同じようにシームレスに機能するようになるまでは、私はこうしたハイテク機器を自分の家で使いたいとは思わない。Microsoftはこれまで常にそうしてきたように今回も、必ずしも優れた製品ではなく、大規模なマーケティング戦略と弱い者いじめの作戦によって、居間やそれ以外の領域を征服することになるかもしれない。
それが「喜び」なのか? 私にはそうは思えない。
ホームネットワークのストレージを増強して、デジタルメディアを配信したい? ADSのNAS Drive Kit(200ドル)を使えば、それが可能だ。ただし別途、IDEハードドライブを追加する必要がある。このドライブを同キットに挿入すれば、イーサネットか802.11g無線LANを介してネットワークに接続し、データを格納、管理したり、デジタルメディアをPCやネットワーク接続されたUniversal Plug and Play(UPnP)対応のAV機器に送信して再生したりできる。USBポートが2基備わっているため、周辺機器を追加することも可能だ。またネットワークの自動検出機能があるため、ユーザーはIPアドレスに煩わされずに済む。搭載されているソフトを使えば、コンテンツを管理したり、インターネットからビデオや楽曲をダウンロードしたりもできる。
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