麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
エアチェックの本質(1/4 ページ)
デジタル時代になって、「エアチェック」のあり方が問われている。
DVDレコーダーの普及、HDDを使ったタイムシフト的なビデオレコーダー利用法などで、エアチェックのスタイルも変化してきた。また、デジタル放送の登場とともに、コピーワンスなどDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)の導入で、以前のように気軽にエアチェックできる環境ではなくなってきている。
デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏に最新の業界動向、AV製品の独自分析/インプレッションなどを聞き出す月イチ連載『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』。今回はエアチェック歴40年以上という同氏の体験談を織り交ぜながら、“エアチェックの本質”について語ってもらった。
――エアチェック歴を教えてください。
麻倉氏: 私はエアチェック大好き人間。最初に始めたのは中学2年の時で、ソニーの家庭用テープレコーダー「ソニオマチック 5」を使っていました。英会話の練習用に買ってもらったのですが、私はもっぱらエアチェックに使っていました。
当時はAMラジオからビートルズなど、いい音楽が流れていたんです。それをテープに録音することでパッケージ化して手元に置き、いつでも聴きたいという思いが私のエアチェックのスタートでした。こういった思いは、アナログからデジタルになって、DVDやHDDという便利なものが登場した今でも、変わらないエアチェックの基本的な本質なのではないでしょうか。
――現在でもテープやディスクがシアタールームの壁にびっしりと並んでいますが、当時からエアチェックコレクションはそうとうあったのでしょうね。
麻倉氏: エアチェックを始めてしばらくしてオープンリールデッキが登場し、最初にティアックの「A-2500」というデッキをアルバイトして買ったのが1970年でした。FMエアチェックが青少年のごく当たり前の趣味になってきた頃で、「FMファン」「週刊FM」などFM誌が情報源として活躍していた時代です。当時の私が、FM誌に「わがエアチェック人生に悔いなし」と題して次のような投稿をしています。
「わがエアチェック人生に悔いなし」
「わがオーディオルームには壁面狭しとテープが並んでいます。モノラル時代の5号テープあり、ステレオ時代の7号テープあり、それにカセットあり……。われながらよくぞ録ったものだと感心しますが、この頃フト疑問が湧いてきたのです。『いったい僕は、このたくさんあるテープのうち、どのくらいをもう一度聴いているんだろう』。そう考えてみると、なんだか心寒い気になります。でも僕は、それでいいと思っています。なぜなら「いつでも聴ける」という保証を録音するのだから。たとえ聴けなくても、この財産は心を豊かにする。プリンの味は食べてみないとわからないとは有名なコトワザですが、プリンを眺めるのもオツなものではありませんか。皆さん。――1975年5月」
たくさんエアチェックしても、なかなか聴く(観る)機会がない……というのは、現在でも変わりませんが、いつでも楽しめるという安心感、確実感を録っているわけで、まさに「プリンは眺めるだけでも楽しい」のです。
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