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プロジェクター使いこなし〜スクリーン/投影サイズ/明るさの微妙な関係劇場がある暮らし――Theater Style(1/3 ページ)

» 2005年03月05日 02時32分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 プロジェクターのレビュー記事を読んだり、あるいは他ユーザーの評価を聞いて「印象がずいぶん違う。きっと嘘・誇張、あるいはセンスの違いだろう」と思う事はないだろうか。

 もちろん、映像や音響といった分野は、受け取る側の感性によって印象が大きく変わるものだ。“嘘”かどうかはともかく、同じ場で同じ製品を見ても、人によって様々な印象を受けることだろう。しかしフロントプロジェクターの場合、環境や設定によって大きく画質は変化する。外的要因が大きいため、ともすれば実力をハッキリと認識できない場合もある。

 つまり、もしかするとちょっとしたセッティングの違いで、より好ましい映像を見ることができるかもしれないのだ。今回はプロジェクターを設置する上で考慮するべき、基礎的な要素について話を進めていきたい。

スクリーンサイズとゲイン、それにプロジェクターの明るさ

 フロントプロジェクターは、液晶テレビやプラズマテレビ、あるいはリアプロジェクションTV(リアプロTV)とは異なり、設置環境で大きく画質が変わってしまう。同じ投影型ディスプレイでも、リアプロTVは箱モノとして完成しており、誰でも置くだけで簡単にメーカーが想定している画質・性能を発揮できる。

 しかしフロントプロジェクターの場合は、スクリーンのサイズ、種類、ゲイン、それにプロジェクター自身の明るさや設置環境によって、きちんと設定を行わなければベストの画質を得ることはできない。

 まずはその辺りを理解するために、それぞれの意味を簡単に掘り下げておこう。

・スクリーンゲイン

スクリーンがどの程度、光を反射するかを表した数値。理論的には、標準白板と呼ばれる完全拡散板(酸化マグネシウムを焼き付けた板)に光を当てたときの輝度を1.0とし、同一条件でそのスクリーンの輝度と比較した比率。たとえば1.2ならば、1.2倍の光を反射する。

・アイリス

本来は眼球の瞳孔を拡縮する環状の部分のことで日本語で虹彩という。転じてプロジェクターでは絞りを調節する仕組みをアイリスという。

・輝度

面の明るさを表す数値。プロジェクターにおいてはスクリーンから反射される光量を表す。単位はカンデラ/平方メートル。

・照度

面を照らす光量を表す数値のこと。単位はルクスで、1ルクスは1平方メートルに1ルーメンの光を当てた時の照度。ルーメンは光束の単位。

 つまり、同じ明るさのプロジェクターでもスクリーンゲインが大きければ明るく見えるが、同じプロジェクターの同じランプモードでも、スクリーンサイズ(投影する面積)が異なれば明るさが変化する。プロジェクターが投影する光束はモードによって一定。ならば、あるスクリーンサイズに投影した時の照度は、そのサイズによって異なるからだ。

 実はここが大きなポイントだ。

同じプロジェクターでも輝度で印象が変化

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