米Googleは自社のサービスを主に口コミで広めていることで知られているが、その同社が先週、日本で初めて大規模な広告キャンペーンを開始した。
グーグルの広報担当者、斉藤香氏によれば、このキャンペーンはGoogle News日本版サービスの認知度を高めるためのもので、地下鉄や鉄道の車内のほか、首都圏の主要鉄道駅5カ所にポスターを掲出するという。車内や駅構内向けの7770枚のポスター広告に加えて、18のWebサイトでバナー広告も展開する。
車内向けポスターの第1弾は3月30日に地下鉄に掲出された。最後のポスターは5月10日まで掲出される。
斉藤氏によれば、このキャンペーンは日本企業の会計年度の開始時期に合わせて始動させたものという。4月1日は一般的に、日本の大手企業の新入社員の入社日だ。また、学校や大学の学期始めでもあるため、多くの人々が1年のこの時期に「新生活」を始めている。斉藤氏によれば、Googleは今回のキャンペーンにより、同社のポータルを、人々が自分の新生活に関連した情報を入手するための方法として促進したい考えという。
広告には、多数の出来事とそれが最初に報道された時期がリストされている。このキャンペーンを計画した広告代理店グレイ ワールドワイドの担当者によれば、最新ニュースに遅れずに付いていくための切迫感をかき立てることを狙ったものという。
さらにこの広告では、Google News日本語版で最近立ち上げたパーソナリゼーション(「このページをカスタマイズする」というリンクでパーソナライズできる)のオプションがクローズアップされている。このオプションは、ユーザーが自分のお気に入りのニューストピック用にセクションを作成し、Google Newsサービスの22カ国のグローバルバージョンからニュースを取り込めるというもの。
「Google Newsはユーザーに、最新のニュースや、自分にとって必要なニュースを非常に効率的に提供できるということを訴えている」とグレイ ワールドワイドの担当者は語っている。
こうしてニュースにフォーカスを絞ることで、Googleは昨年9月に始動して以来、成長を遂げられずにいる自社サービスの促進を図っている。ネットレイティングスのデータによれば、Google News日本語版には、始動後最初の1カ月には100万人のホームユーザーがアクセスしたが、11月にはこの数字は89万2000人まで落ち込んでいる。また、ネットレイティングスがデータを集計した一番最近の月となる今年2月には、同サービスにアクセスしたユーザーの数は92万8000人となっている。
「アクセスは毎月90万〜100万人程度だ」とネットレイティングスの広報担当者、西村総一郎氏は語っている。
これに対し、ネットレイティングスによれば、今年2月には、Yahoo! Japanのニュースページには1370万人のホームユーザーがアクセスし、読売新聞と朝日新聞のWebサイトにはそれぞれ400万人と280万人のユーザーがアクセスしている。Googleの今回の広告キャンペーンの目的はGoogle News日本語版の利用者を増やすことだという。
今回のキャンペーンは、Googleが従来自社サービスの促進に用いてきた方法とは一線を画している。同社の世界中のサイトは始動以来、専ら口コミを通じて成長を続け、Webで最も人気の高いサイトの1つになるに至っている。
唯一の例外としては、検索アプライアンスなどのGoogle製品向けの業界誌、および的を絞ったWebサイトにおける小規模なオンライン広告を通じたプロモーションがあった。
Googleによれば、ユーザーは友人や家族とポジティブな体験を共有するのが好きなため、口コミは確実に機能するという。
ネットレイティングスの西村氏によれば、Googleが日本で抱えている問題は、サービスが魅力的ではないということではなく、同社が厳しい競争、特にヤフーとの激しい競争に直面していることだという。
ネットレイティングスによれば、今年2月、Yahoo! Japanのポータルには2960万人のユーザーがアクセスし、日本で最も人気の高いポータルとなっている。第2位は1880万人のユーザーがアクセスしたMSN、3位以降にはニフティ、インフォシーク、BIGLOBE、goo、ライブドアが続き、アクセスユーザー数が970万人だったGoogleはようやく8位につけている。
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