「D-cubicは『Yahoo!BB』のモバイル版」――ライブドアの堀江貴文社長は6月15日、公衆無線LANサービス「D-cubic」の発表会で、無線LANの価格破壊を宣言した。月額525円と従来の有料ホットスポットの3分の1程度の価格で、都内主要エリアをほぼカバーするD-cubic。パワードコムや日本アイ・ビー・エム(IBM)などと提携し、法人向けサービスも展開するほか、「Skype」などIP電話を活用したサービスで、携帯電話の置き換えももくろむ。
公衆無線LANサービスは、NTTコミュニケーションズやソフトバンクなど各社が展開してきたが、利用可能エリアは喫茶店や駅など“点”にとどまっており、面的にエリアをカバーする携帯電話と比べると普及が進んだとは言いがたい。
同社は今回、東京電力系のパワードコムと提携。パワードコムのFTTH回線を活用し、電柱にアクセスポイントを設置することでコストを抑えながらカバーエリアを広げた。アクセスポイントは大型商業施設などにも設置する予定だ。
7月末に、港区と新宿区の一部で無料の試験サービスを開始。10月1日からは、都内2200カ所に設置したアクセスポイントを活用して有料(初期費用1050円、月額525円)本サービスに入る。
本サービス開始時のカバーエリアは山手線圏内の80%。アクセスポイントは、2006年3月には23区内に6200カ所、同12月には全国1都8県、6万カ所に拡大する計画。2007年にはさらにエリアを広げ、全国主要都市で展開する予定だ。海外進出も検討しているという。
本サービス開始時の投資額は約7億円。6万アクセスポイント設置時は、総額100〜150億円規模になるという。損益分岐点のユーザー数は10〜20万人だが「ミリオンユーザーを狙いたい」(堀江社長)。
サービスへのログインはIDとパスワードによるWeb認証で行い、SSIDとWEPキーが必要。IEEE 802.1x認証にも対応予定だ。利用申し込みはライブドアのWebサイトで受け付ける。ライブドアIDを持っていれば、ライブドアポータルのコンテンツに限り、申し込み不要・無料で見られる。
来春以降、法人向けサービスを本格展開する。日本IBMやパワードコム、京セラコミュニケーションシステムなどと組み、VPNを活用したモバイルシステムや、ローミング・モバイルセントレックスを利用した通信事業者向けサービス、アクセスポイント利用の位置情報サービスなどを予定している。
パワードコムの中根滋社長は会見で「当社の法人顧客4000社にD-cubicを売り込みたい」と意気込む。日本IBMも、法人向けサービスにD-cubicを組み込むほか、営業スタッフ100人がD-cubicを試用する予定だ。トレンドマイクロとも提携し、無線LANの安全性をアピールしていく。
ライブドアと提携したフジテレビジョンの山田良明編成制作局長も会見に出席し、堀江社長に映画「電車男」のチケットをプレゼント。「7月開始予定のVoDサービスを無線LAN経由で見てもらいたい」と話した。フジテレビの記者が現場から原稿を送信する際にもD-cubicを使う計画だ。
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