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ソニー新CEO、「女王の助言」を受ける

» 2005年06月22日 20時05分 公開
[IDG Japan]
IDG

 女王様に製品を気に入ってもらえなかったら、困ったことになる。

 6月22日、ハワード・ストリンガー氏はソニーの株主総会で同社の新CEO(最高経営責任者)に正式に就任した。同氏は問題を抱えるソニーの回復計画に関するコメントの中で、「お客様は神様です」というスローガンに新たなひねりを加えた。

 同氏は英国のエリザベス女王2世との昼食会で、ソニー製品に話が向いたときのことを話した。

 「あなたの会社のリモコンは使いにくい。矢印が多すぎる」と女王は同氏に語ったという。

 ソニー製品の改善と使い勝手の向上は、ライバルに奪われた陣地を回復し、エレクトロニクスの王者の冠を取り戻すストリンガー氏の計画の一環だと同氏は語った。近く人員削減も行うという。

 同氏のCEOとしての最初の行動は、株主を安心させることだった。

 「わたしは外国人で、ウェールズ生まれだ。米国に住み、今は飛行機で暮らしている。だがわたしは一番の、第一線のソニーの戦士だ」(同氏)

 ストリンガー氏は3月に、出井伸之氏の後任に指名された(3月27日の記事参照)。同氏はこのときの記者会見で、ソニーには組織再編が必要だと語ったが、具体的に何をやりたいかは明かさず、9月に自身の計画を公表するとだけ話した。

 同氏は21日に株主の質問に答え、ソニーはライバルに包囲されていると語り、ソニーのトップに就くことを家族から「正気の沙汰ではない」と思われていると打ち明けた。また、ソニーの回復計画について幾つかのヒントも示した。

 「われわれには恐ろしいライバルがたくさんいる。再来週、わたしはビル・ゲイツ氏とスティーブ・ジョブズ氏に会う予定だ。(彼らと握手をして)それでもまだ手がついているかどうか見てみるよ」(同氏)

 同氏の優先課題に1つはエレクトロニクス事業の黒字化だ。映画事業での経験はその目標の妨げにはならないと、同氏は株主を安心させようとした。「エンターテインメントはエレクトロニクスをサポートする。これはエレクトロニクスよりも重要ではない」

 ソニーには優れた技術者とテクノロジーがあるが、ソニーブランドのてこ入れにはもっと優れた、使い勝手の良い製品が必要だと同氏。同社の問題の根深さは人員削減の必要性を意味しているが、同氏はそれを慎重に行うと約束した。

 「日本で大なたを振るえないと分かっているが、われわれは変わらなくてはならない。わたしはタフにならねばならないし、それがわたしの責務だ。この会社はあまりに大きく、失敗は許されないのだから」と同氏。

 この日の株主総会ではほかに中鉢良治氏の社長就任、井原勝美氏の副社長兼ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー社長就任も承認された。

 出井氏は最高顧問となり、前社長の安藤国威氏は顧問となる。

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