ソニーの会長兼グループCEOに就任したハワード・ストリンガー氏と、同じく社長兼エレクトロニクスCEOに就任した中鉢良治氏が6月23日に都内で会見を行い、今後の事業方針について語った。
「ソニーに入社して8年になるが、入社前から30年間に渡って私はソニー製品のユーザーでもあった。顧客として製品の優秀さや信頼性を信じてきたし、これからもそうした資質を展開していきたい。ソニーは今、さまざまな問題を抱えており、挑戦せざるを得ない時期であることは確かだが、優先される課題はエレクトロニクスの復活、ソニーブランドの復権だと言いたい」(ストリンガー氏)
ストリンガー氏は冒頭、「AVのソニー」という本業の復活を最優先課題に挙げ、加えて、「成長領域に資源を集中することが必要だ」という基本姿勢を示した。示された集中分野は「テレビ」「Blu-ray Disc」「ウォークマン」の3つだったが、コミュニケーションとモバイルの各分野についても「大きなチャンスがある」と含みを持たせた。
その集中領域のひとつに挙げられたBlu-ray Discだが、4月下旬から5月上旬にかけて、次世代光ディスクの統一規格を目指す協議が関係各社の間で進められていた。JEITA会長の岡村正氏も5月27日の就任会見で「次世代DVDは統一が望ましい」とコメントしているものの、表だった統一に向けた動きは見られない。
次世代DVD統一の可能を問われた中鉢氏は「消費者の利便性を考えた場合、統一規格が一番望ましい。そのための努力は惜しまない。引き続き統一に向けて努力する。そのためのプロセスはHD DVD陣営の動向にも左右されるものであるし、確たるスケジュールがあるわけではない。しかし、努力は続けていく」とコメント。具体的な行動については明言を避けたものの、引き続き統一の可能性を探る姿勢を示した。
テレビ事業については、液晶テレビとリアプロTVの2分野に注力していく姿勢を以前から示しており、新体制でもその姿勢は変わらない。むしろ、集中領域のひとつに挙げられたことから、より積極的な開発・製品投入が行われる可能性が高くなっている。液晶については「ハッピーベガ」がヒットしているが、日本市場ではリアプロTV自体があまり受け入れられておらず、ここが今後の強化ポイントのひとつになるだろう。
「リアプロは地域の違いがはっきり出る製品。北米は好調なので、この勢いを全世界に展開したいと思っているが、日本は液晶への支持が高いので、このバランスを見極めていきたい。コストパフォーマンスや性能を考えるとリアプロの存在意義は大きい。日本市場に受け入れられる製品を考えていきたい」(中鉢氏)
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