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12倍ズーム・手ブレ補正、でも小型――松下「LUMIX DMC-FZ5」レビュー(2/4 ページ)

» 2005年06月24日 15時44分 公開
[小山安博,ITmedia]

 本体背面は、ほぼ中央に液晶モニターが搭載され、レンズと直線上に配置されている点は好感が持てる。電子ビューファインダー(EVF)がその軸線が外れているのは残念だが、液晶モニターをメインに使えばそれほど支障はない。基本的にワイド側では液晶モニターで十分だが、テレ側ではEVFを使った方が手ブレに対しては有利なので、使い分けるのもいいだろう。

 操作ボタンの数は多めだ。液晶上部にはフラッシュボタン、EVF/LCD切り替えボタン、ディスプレイボタン、露出ボタン、電源スイッチ、液晶右側にはメニューボタン、十字ボタン、フォーカスボタンが並ぶ。本体上部には、シャッターボタン、手ブレ補正切り替えボタン、連写ボタン、モードダイヤルが配置されている。

photo 背面と上部で、ややボタン数が多い感じもするが、操作性は悪くない。グリップも大きく、シャッターボタンの位置変更も効果的

 ボタン類が多いため、操作が煩雑なイメージもあるが、特に操作体系は難しくない。基本的なボタン配置は前モデルのFZ3と変わっていないことからも、ユーザーからの不満がそれほど多くないことがうかがえる。

 新たに追加されたボタンは、連写ボタンの上に用意された手ブレ補正ボタンだ。長押しすることで、常時手ブレを補正するMODE1、シャッターが切れる瞬間だけ手ブレを補正し、より高い補正効果が得られるMODE2、そしてOFFの3種類が選択できるようになる。

 撮像素子が1/2.5インチに大型化されたことに伴い、レンズが新しくなったのも重要な変更点だ。レンズのブランドとしては「ライカDCバリオ・エルマリート」で、従来通りだが、レンズ構成としてはFZ3の8群13枚からFZ5では8群11枚となり、レンズの明るさが全域F2.8からF2.8〜F3.3となった。焦点距離も、35〜420ミリ相当から36〜432ミリ相当とわずかにテレ側によった。

photo さすがに大型のライカDCバリオ・エルマリートレンズ。正面から見ると迫力がある。細部まで描画し、色ずれの少ない高画質を実現する

 全域F2.8でなくなった点は残念だが、新たにテレ端で1メートルまで近寄れるテレマクロ機能を搭載した点は大きい。

 そのほかの大きな変更点といえば、「高速1点AFモード」の搭載だ。CCDによるAF検波を高クロック化したことで高速化を実現しており、中央1点に限定されるが、このクラスとしては幅広い場面で高速なAFが可能だ。3点/9点AFも高速化されており、通常の使用の範囲では不満が起きるようなことはなかった。

 また、キヤノンのSIセンサーのように、縦位置で取った画像を縦表示で再生できる縦横判別機能も搭載。Photoshopなどの対応アプリケーションであれば、PCに取り込んで閲覧する際にも縦表示される。

オートでも、マニュアルでも、幅広く対応できる

 起動は、電源スイッチをスライドさせる。スライドスイッチは、オン/オフが明確な点で好印象だ。起動時間は実測で3秒程度とそれほど高速ではない。

 モードダイヤルにはかんたんモード(ハートマーク)、シーンモード、動画撮影モード、マクロモード、P/A/S/Mの各露出モード、再生モードがそれぞれ用意されている。

 面白いのはマクロモードだ。通常、マクロモードはボタンで設定するが、FZ5ではダイヤルで設定する。撮影機能としては、Pモードと同等と考えればいいだろう。シャッタースピードや絞りの変更はできないが、露出補正やISO感度、ホワイトバランスといった基本的な設定は可能だ。

 かんたんモードは、同社特有のモードで、初心者向けに用語も単純化し、たとえば「画質」設定だったら「引き伸ばし」「サービス判」といったように、画素数などでは表現せず、ホワイトバランスやISO感度など、撮影設定も固定化されるため、設定で迷うことなく撮影ができる。いわば他社製品のオートモードをさらに簡単にしたものだ。

 通常の撮影であれば、普段はPモードかマクロモードを使い、ちょっと懲りたいときにシャッタースピード優先・絞り優先・マニュアルの各露出モードを使うといいだろう。

 前述の通り、レンズの焦点距離は35mm判換算で36〜432ミリ相当。少し気になったのはズーミングの速度で、やや不満を感じたのは確か。PowerShot S2 ISなどは、ズームレバーを押す力でズーミング速度が変化し、ワイド端からテレ端までほとんど一瞬でズーム可能な優れものだったが、FZ5はそれに比べてゆっくりとしたズーミングしかできない。

 しかも、電源のオン/オフでズーム位置がリセットされ、常にワイド端に戻ってしまうので、電源オンからテレ端の撮影を行うのにちょっと時間がかかってしまうところが残念だった。

 花形フードが付属する点はいい。アダプター経由で取り付けるのだが、レンズ部が長く伸びるため、構えやすくなる。大型のため、フードとしての利用価値も高い。小型化のメリットは失われるが、常用したいフードだ。

photo 付属の花形フード。さらに迫力が増す
photo 横から

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