矢野経済研究所が6月29日に発表した「2005 視聴スタイル動向調査」によると、HDDレコーダーのユーザーが録画番組のCMをスキップする率は7割に上った。ただ、ユーザーのリアルタイム視聴時間はそれほど減っていないため、広告主は「テレビCMの重要性に変化はない」としている。
調査は、3月24日から6月1日にかけて、同社ネットモニター5554人へのアンケート(回収率34.3%)と、有力広告主6社への面接取材で行った。
ビデオデッキ時代と比べて録画時間が増えたと答えたのは76.3%。再生時間も71.0%が増えたと回答した。リアルタイム試聴時間は、63.5%が「変わらない」、23.1%が「減った」と答えている。
週あたりの平均録画時間(推計)は、ビデオデッキ時代よりも3時間7分増。再生時間も2時間29分増えた。リアルタイム視聴は20分減っている。
CMスキップは「ほぼ毎回(9割以上)」するユーザーが45.5%と最多。「頻繁にする(7〜8割)」が23.6%、「半分程度(4〜6割)」が12.6%だった。平均すると、69.2%のCMがスキップされていることが分かった。
この結果について広告主にヒアリングしたところ、リアルタイム視聴が微減にとどまっているため、テレビCMの価値は下がらないという意見がほとんど。CMスキップを問題視する声はなかったという。
ただ、リアルタイムで視聴できる番組でも、CMスキップや早見再生で見るためにあえてHDD録画することが増えた、と答えたユーザーが45.6%いた。この傾向が、テレビの広告モデルを脅かす可能性があると同社は警告している。
CMスキップの損害を回避するため、ドラマ内に商品を登場させるなどして宣伝する手法「プロダクトリプレースメント」が注目を浴びているが、ユーザーの評価はまちまちだ。「通常のCMよりもいいと思う」と答えるユーザーは27.0%いたが、「番組内容が損なわれるのでやめてほしい」(25.4%)、「通常のCMも楽しんでいるので今まで通りでよい」(13.6%)とするユーザーも多かった。
HDDレコーダー導入で「これまで時間帯の都合で見られなかった番組を見るようになった」と答えたユーザーは48.0%。視聴内容が特に変化しなかったユーザー(38.5%)を上回った。
番組を“とりあえず”録画する頻度が増えたと答えたのは65.4%。別の作業をしながら番組再生する「ながら視聴」は、78.4%が増えたと答え、録画や再生の能動的な側面が弱まってきているとしている。
一方、ネットは能動的にアクセスするメディア。同社は、テレビとネットは補完しながら広告媒体として機能すると分析している。
自由回答では、HDDレコーダーで録画した番組を家族で見る機会が増え、家族の会話が増えたとの答えが目立った。
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