米国のインターネットユーザーの9%が電子メール詐欺で金銭的被害を受けたことがあることが、市場調査会社The Radicati Groupによる791人のユーザーに対する調査で明らかになった。
この調査は、スパムやウイルスを撃退する電子メールアプライアンスを提供するMirapointの委託で4月にオンラインで実施された。
「9%とは予想していなかった。われわれが予想していたのはずっと低い数字だった」とRadicatiの上級アナリスト、マーセル・ニーンフイス氏は語る。
ニーンフイス氏は電子メール詐欺を「金銭をだまし取ることを目的としたあらゆる電子メール」と定義している。
だがこの調査では、単に「電子メール詐欺で金銭的被害を受けたことがありますか」と質問しており、詐欺の定義は回答者に任されている。
また、最も頻繁に受け取る詐欺メールやスパムの内容を3種類挙げるよう求める設問では、処方せんが必要な薬の売り込み、金融サービス、ポルノ、ナイジェリア詐欺、フィッシング詐欺が回答の上位を占めた。
調査会社のFerris Researchもオンライン詐欺の調査を行っている。同社はRadicatiのオンライン調査に関与しなかったが、その結果は自社の調査の成果と一致していると述べている。
「この結果は妥当なものだ。ただ、若干高めの数字が出ているかもしれない」と英国在住でFerris Researchのスパム・境界サービス・プラクティス責任者を務める自営コンサルタント、リチ・ジェニングズ氏は語る。
「これまでのところ、ユーザーへの啓発はまったくお粗末だ」とジェニングズ氏。「最近見たCNNの番組では、詐欺から身を守るための3つの秘訣の1つとして、『知らない相手からのメールを開かないこと』を勧めていた。だが、ブランドや知名度の威力こそ、まさにスパム業者や詐欺師が悪用しているものだ」
ジェニングズ氏とFerris Researchの同僚は、スパム対策ソフトや教育、法整備により、スパムとフィッシングが数年後には影を潜めると予測する。
「だが、オンライン詐欺は後を絶たないだろう。既にスパム業者や詐欺師がブログやWikiなどほかのメディアに移行しているケースや、検索エンジンの検索結果をゆがめるという新しい手口を使っているケースが見られる」(同氏)
当然のことながら、それは彼らがそうすることで稼げるからだ、とジェニングズ氏は語る。「人々は基本的に貪欲だ。もうけ話に釣られてカモにされてしまう」
数学モデルに基づくFerris Researchの推計によると、スパムとメール詐欺による損害は全世界で年間500億ドルに上り、米国だけでも年間170億ドルに達する。「その中には浪費された時間、スパム対策ソフトの導入・保守コスト、サーバの性能低下などが換算されている」(ジェニングズ氏)
Radicatiのニーンフイス氏は、大半の人はオンライン詐欺の被害に遭うのは1回だけだろうと考えている。「人々は自分に降りかかるまで、オンライン詐欺は危険だが、自分には無縁だと漠然と思っている。一度だまされると、以後は受け取ったメールをかなり慎重に扱うようになるだろう」
Radicati Groupによると、調査回答者のうち523人が消費者、268人が企業電子メールユーザーだった。
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