激しい価格競争さえ底を突いた感のあるDVD-R市場において、1枚480円(10枚パック/プラスチックケース入り)という異例の高値で登場した「森メディア」。高品質をうたうDVDメディアは数多いが、森メディアは開発者の森康裕氏自らが「“業務向けレベルの品質を民生用に”をモットーに、コストを度外視した」というほどのクオリティの高さが特徴だ。
高品質への徹底した“コダワリ”――。それを最も象徴しているのが「両リブの採用」だ。多くのDVD-Rメディアが記録面にしかリブを設けていないのに対して、森メディアではレーベル面にもリブを設けている。これによって反りが少なく(平面に近い)、記録メディアとして理想的な物理特性を獲得しているのだ。
DVD-Rは1枚の基板から製造されているわけではなく、0.6ミリの基板を2枚張り合わせる構造となっているが、2枚の基板をまったく同じ物理特性で製造することは非常に困難。そのためにリブがそれぞれの基板が持つ誤差を吸収し、反りを押さえる役目を持っている。しかし、価格競争が進んだことによってレーベル面のリブは省かれる方向に進み、結果として記録面だけにリブが残ったため、2枚の基板がそれぞれ異なる反り角をもったまま張り合わされて製品化される、という状況になっている。
「リブが記録面だけだと製造が容易になるので大量生産には向きます。一方、両リブを採用することによって経年変化(反り)を抑える効果が期待できます。メディアの素材であるポリカーボネートの寿命が30年と言われていますが、森メディアはその素材の限界にまで近づいたと思っています」
張り合わされている2枚の基板(記録を行うマスター基板と表面保護を行うダミー基板)の製造工程についても、工夫が凝らされている。
最近は大手メーカーでも、マスター基板はゆっくり成型するものの、ダミー基板は短い時間で成型するという傾向がある。だが森メディアの場合には、2枚の基板の成型時間を同一にすることで、品質の均一化を図っている。さらに、本メディアの製造にあたっては、両リブ構造に対応した森メディア専用スタンパーが採用されている。
「両リブの採用や、マスター基板とダミー基板の成型時間同一化も、物理特性の良いメディアを作ろうとしたらそうなってしまった、ということなのです」
「光学メディアにとって大切なことは、“水平”を“保つ”ことなのです。これまでは補正回路を搭載するなどしたドライブの高性能化に助けられた側面がありますが、本来はメディアが水平の状態を保つことが大切なのです。森メディアならば水平を保ち続けるので、ドライブにも負担をかけません。一説に1台のドライブで焼けるDVD-Rの枚数は600枚程度と言われますが、森メディアだけを使ってくれれば、2000枚は焼ける自信があります」
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