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第30回 花とマクロとピントの関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2005年09月01日 20時45分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 花を撮る。花はどこにでもあって季節を感じさせてくれるので、さっと手軽に撮るにはちょうどいい。しかし花の写真は奥が深いので、つきつめようと思うと三脚は必須だし、カメラもそれなりの性能が必要だし、じっと風が止むのを待つ忍耐力や集中力も必要なわけだが、そこまでやる気はないけど、ふと出会ったきれいな花を手軽に美しく撮りたいねって人のためのお話である。

花は角度で性格が変わる

 花をでかくきれいに撮ろうと思ったらまず「マクロモード」。マクロモードの共通アイコンが「花」だったりするように、近距離で花を撮ろうと思ったらやはりマクロモードである。マクロモードにし忘れてピントが花ではなく背景に合ってたりするととても悲しい。

 では花にすごーく近く寄ってみよう。最近のデジカメはワイド端で(レンズ前から)1〜5センチくらいまで近寄れるので、かなりでかく撮れる。

 でも近くなればなるほど難しくなる。まずピントが難しい。被写体に近づけば近づくほどピントの合う範囲が狭くなり、ピンポイントにピントが合うようになってくるので、ピンボケしやすくなるのだ。

雌しべの先っちょにピントが合っている
雌しべではなく雄しべの方にピントが合っている

 実はこの2枚、意図してピントの合う位置を変えたわけではなく、失敗を考慮して複数枚撮っておいたところ、いい感じにピントの位置がズレてたカットがあったというわけだ。

 マクロ撮影時のピント位置は非常に微妙。仮に狙った位置にピントが来ていても、手が少し前後に動いただけでズレるし、風が吹いて花が少し動いただけでもズレるのだ。だから本格的に撮るなら昼間でも三脚は欠かせない。

 「そこまで力は入れないよ」って人向きには、カメラのAFモードを変更できるなら「ピンポイントでAFを合わせられるモード」にし、風が吹いてないときを見計らい、「画面中央のAFポイントでAFロックを行い、カメラと花の距離が変わらないよう気をつけてシャッターを押す」である。そうして、何枚か撮っておく。

 なお、自分のデジカメの「マクロモード時の撮影最短距離」の把握は必要だ。特に広角端では近寄れても望遠側ではたいして近寄れない製品もある。近づきすぎては絶対後ろにピントが合うから。

 ちなみにこの花は「モミジアオイ」。花はけっこうでかく特徴的なのですぐ分かる。これをいろんな角度で撮ってみた。

低い位置に咲いているモミジアオイを望遠側のマクロで撮影。背景にほかの茎がたくさん写って「群生っぽい」感じ
同じく望遠で横から撮ったのだが、背景にほかの茎が入らないような角度で撮影。すると背景が遠くなってきれいにボケた上に、向こう側が森で暗いので花の赤さがくっきりと出た
高い位置のモミジアオイを下から見上げてみた。空がバックだと花が暗くなっちゃうので+1.3の露出補正をかけてある。1本だけすっくと伸びている感じ
縦位置にし、下から見上げる感じで広角側で撮影。ただし、花を構図の一番下に置いた。広角側は遠近感が強くでるので花が実物以上に大きく見える。手前の花びらがフレームからはみ出てることもあって、かなりの迫力。別に花全体を入れなきゃいけないこともない
広角側で低い位置の花を素直に立ち位置から撮影。地面が写ってしまっていてごちゃっとしてしまった。しかも花が構図のど真ん中にあって落ち着かない。これはちょっとイマイチだ

 どれがいいかは人それぞれだが、撮り方によってその性格が全然違うのは頭に入れておきたい。

 「きれいな花っ」と思ったら、花びらがきれいな個体を、カッコいい角度から、背景や撮影するアングルにも気を配って撮る、ってことだ。どういうテイストにしたいかは自分の感性だ。とりあえず「メインの花を構図のど真ん中に律儀に置いて撮る必要はない」ってこと。花を撮るんだけれども、構図全体のどこにどういう角度で花があると自分の撮りたいイメージになるかって考えると楽しい。分からないときはいろんなバリエーションを撮って、あとでモニターでゆっくり見てみるとよい。

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