一方PC業界に目を向けると、8月末に東芝が同社製AVパソコン「Qosmio」シリーズでDLNAに対応したことで、日本の主なPCメーカーはすべてホームネットワーク対応機種が存在するという状況まで来た。またPC周辺機器メーカーでは、バッファローやアイ・オー・データらが、積極的にネットワーク対応DVDプレーヤーやNASをリリースしているのはすでにご存じの通りである。
長谷川氏: 「PCサイドからのアプローチとしては、マイクロソフトが「PlaysForSure」というロゴプログラムで、Windows MediaフォーマットとWindows Media DRM技術を使ってホームネットワークを構築しようとしています。すでにいくつかのメーカーがPlaysForSure端末というのをリリースしてきています。一方インテルが8月に発表した「Viiv」も、ロゴプログラムとしては同じような戦略ですね」
──なんか今さらながら、いろいろなものがバラバラに動きつつあるようなイメージがあるんですが。
長谷川氏: 「「PlaysForSure」も「Viiv」もネットワーク部分はDLNAベースで、ホームネットワークに絡んで製品を出していこうとする動きなんですね。日本ではPCばかりがホームネットワーク対応しても、という感じはあるのかもしれませんが、アメリカではPCだけでもそこそこのシェアはあるので、状況は去年から比べれば格段に良くなってきている。普及に向けて走り出しているという実感はあります」
──しかし各社がそれぞれ推奨ロゴを作って普及させようということは、ある意味囲い込みですよね。なんかみんなで繋がっていこうみたいなホームネットワークの基本理念から外れていくような気がするんですが。
長谷川氏: 「どこもDLNAから積極的に逸脱しようとは考えていないんです。DLNAの中で各社なりのアドバンテージやエリアを確保しようとしている、というところなんですね」
ホームネットワーク普及への課題として、現在4つの問題があると言われている。「啓蒙」、「ガイドライン」、「サポート」、「コンテンツ」だ。この中で技術的な部分である「ガイドライン」は、DLNAが中心となることでもっとも先行している部分である。
一方で啓蒙、すなわちプロモーションはどこがやるのか、ということになる。これはCEATECなどのイベントや展示会を通じてDLNA自身でやることもあるだろうし、賛同各社も製品として宣伝を行なう。ところが今はその部分が地味になってきているので、我々消費者の視点からは「あれ? そう言えばどこ行ったんだ?」ということになっているわけである。
これらの要素の中で、もっともホームネットワーク普及を阻んでいるのは、「コンテンツ」ではないかと思う。デジオンのDLNA担当として世界中を飛び回っている、事業開発室 マネージャー 三阪英一氏に、テレビ会議システムを使ってインタビューした。
三阪氏: 「もっとも一般的なビデオコンテンツと言えば、今の日本ではイコール「テレビ番組」ということになります。ですが現状では、地デジにしてもBSデジタルにしても、映像コンテンツはホームネットワークに流せないことになっています。家電メーカーも販売店と一緒になって、地デジをキーワードに販促を勧めているわけですが、それにホームネットワークが「乗れない」わけです。世界的に見ると、米国もヨーロッパも、デジタル放送にコピーワンスなどのコンテンツプロテクションはまったく無いんですね。ですからこれは、特に日本だけで障害になっている部分です」
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