昨今、データ用プロジェクターはビジネスの現場で欠かせない“当たり前”のビジネスツール。その中で日本市場で爆発的に伸びているのが、モバイルデータプロジェクター。中でも1キロ前後の“ウルトラモバイル”の人気が高まっている。
そんなモバイルデータプロジェクターにおいて、ひときわ高い存在感を示しているのが日本ヒューレット・パッカード(HP)だ。ヒットモデル「sb21」の後継機として登場した新モデル「HP Digital Projector mp2210」「HP Digital Projector mp2225」を使ってみると、なるほどHPのモバイルデータプロジェクターがウケている理由が見えてくる。サイズ、画質、軽さ、使いやすさのバランスに優れていると実感できるのだ。
mp2210とmp2225は、色の違いはあるものの筐体は同デザイン。前者はHPダイレクト専用モデルとして販売される商品であり、後者は店頭および流通チャネル向け製品として企画されている。簡単に両モデルの特徴と違いについて触れておくことにしよう。
1キロ前後の携帯性を重視したデータプロジェクターは、これまでSVGA解像度が主流だった。プロジェクターのサイズをコンパクト化するには、光学回路全体を小さくする必要がある。そのためには像を投影するための素子を小さくせねばならず、解像度を上げる事が難しくなるからだ。
コンパクト化が容易なDLPTMとはいえ、XGA解像度となると社内での持ち運びが可能な程度のサイズだった。新しい2モデルの最大の特徴は、XGA対応の光学系でありながら、A5サイズのコンパクトな筐体と約1.1キロという軽量ボディを実現したことだ。
情報量の多いスライドを投影する場合、SVGAでは十分な見やすさを確保できない場合が多い。PCの画面解像度でXGAがスタンダードとなっている中、モバイルデータプロジェクターもXGAである事が望ましいのは自明。今回の新製品は、XGAを新スタンダードとして一気に市場を開花させようという意欲的なモデルといえそうだ。
輝度はmp2210が1500ルーメンでmp2225が1400ルーメン、コントラスト比はmp2210が2000:1でmp2225が2200:1。両モデルの明るさとコントラスト比が異なるのは、mp2225では異なる色再現のシステムを採用しているからだ。
通常、データ用DLPTMはRGBの3原色+白(W)を時分割で混合しながら色を表現するが、mp2225はこれらに加えてY、つまりイエローセグメントが追加されている。
RGBWセグメントだけで構成されたDLPTMは、そのままではパステル調の淡い色や黄色の表現が苦手だ。Yセグメントはその弱点をカバーするもの。実際に投影像を見ると、黄色やオレンジで特に効果が感じられた。また写真や動画を投影した際にも、mp2210ではやや渋めの発色となってしまう場面で、mp2225は自然に見えるという違いが見られた。
動画や写真で商品を紹介する機会が多いならば、mp2225を選ぶ事を勧めたい。なおベンダー側もそれを意識してか、mp2225にのみスピーカーが内蔵されている。
このほかmp2225に自動台形補正が装備されているのも両者間の違いだ。自動台形補正とは投影画面をセンサーで検知し、台形補正の値を自動的に設定するというもの。手軽に素早くプレゼンテーションを行いたいユーザーにピッタリな機能だ。
実際に両製品の違いを見るため、まずは一般的なホワイトマットスクリーンに対し、照明を落とした部屋で投影してみた。さすがに真っ暗な中では両製品ともかなりのパワーで、むしろまぶしさを感じるほどだ。投影距離が取れるならば、100インチ以上に投影しても十分な光量がある。
次に照明を徐々に上げ、部屋をやや暗めの150ルクス程度の照度に上げてみる。この状態でも白のピークは明るさを保ち、写真や動画の投影でも十分な画質・コントラストを確保できる。
さらに500〜1000ルクスになると、さすがにコントラストは下がるが、会議室などの場合は、投影面に近い場所にある灯りを消しておけば不満はない。なお、ここまで部屋が明るくなると、さすがにmp2210の方がやや見やすさで有利となる。
仕様の近似する両モデルだが、データプロジェクターとしてのコストパフォーマンスならばmp2210、他製品と比較して機能や画質面が気になるならばmp2225の方が良い選択と言えそうだ。
両製品とも、パッケージ内にはコンパクトで使いやすいキャリングケースが同梱されている。このケースは本体をプロテクトする事に特化した軽量なもので、豪華ではないがむしろそれが使いやすさにつながっている。加えてケーブル類をコンパクトに収納可能なメッシュバッグも同梱。
メッシュバッグにはマウス操作も可能な付属カード型リモコンを収めるポケットがあり、さらに各ケーブルには束ねやすいようマジックテープが取り付けられていた。細かな使い勝手に配慮した製品だ。そして使い勝手という切り口で見た場合、クイックシャットダウン機能にも触れておく必要があるだろう。
前述したように本機はデータ用として十分な明るさを実現しているが、その一方で明るさと相反する要素であるクールダウン時間が短縮されている。プロジェクターのクールダウンに必要な時間は、厳密には使用条件や気温に応じて異なるものだ。このため確実なクールダウンが行えるだけの十分な時間をかけるよう設計されている。
この時間は想定される最悪の条件で設定されるため、実際にはクールダウンが終わったとしてもずっと冷やし続ける無駄が出てしまう。そこでHPは温度センサーを内蔵させ、所定の温度以下になればクールダウンを終了させるクイックシャットダウン機能を設けたのだ。短い場合は10秒程度、長い場合でも20秒以内にはシャットダウンが終了する。
このほか、ウルトラモバイルのカテゴリーでは、一般的なVGAコネクタではなく、専用コネクタしか接続できない製品が多い中、mp2200シリーズは通常のVGAケーブルが利用できる点も評価したい。
機能や使い勝手を失う小型化はカンタンだが、それでは道具としての価値も下がってしまう。mp2200シリーズのポイントは、より大きなXGA対応のDMD素子を用い、さらに上位機に迫る明るさや機能性、使い勝手を維持したままでA5サイズ1.1キロを実現した点にある。
そのバランス感覚は、プロジェクターを日常的に道具として利用する者に、これまでの製品には無かった、心地よさを与えるに違いない。
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提供:日本ヒューレット・パッカード 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日
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