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ハイビジョンDLPの世界に飛び込める1台──東芝「TDP-MT700J」

» 2005年10月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 ハイコントラストで色ムラがなく、開口率の高いDLPTMは、ホーム用のシネマプロジェクターとして高い評価を得てきた。しかし、これから自宅でプロジェクターを楽しもうというユーザーにとって、ハイビジョン放送の投影にも対応した720P解像度のDLPTM機は高嶺の花だった。趣味性の高い720P対応プロジェクターの中心価格帯は100万円。毎年、新機種の投入があり、画質は毎年のように向上したが、価格が下がることはなかった。

 しかし今年、そうしたこれまでの常識に変化が生まれている。東芝が発売した「TDP-MT700J」は、720Pに対応したDMD素子「HD2+」、映像回路にファロージャ社のチップを搭載し、30万円を切る売価を実現した。しかも実際にスクリーンに映像を投影してみると、画質の面でも期待を裏切らない製品であった。

photo 720P対応で実売30万円を切る東芝「TDP-MT700J」
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高画質を現実的な価格で

 東芝映像システム事業部プロジェクション・ディスプレイ部で商品企画を担当する宮川哲男参事は「商品コンセプトは、ズバリ“ハイエンドの世界を見てもらうこと”です」と話す。

 「720P対応のホームシネマ用プロジェクターは、とても画質レベルが高い。よく言われるコントラストの高さや色ムラの少なさだけではなく、画素の境目がない映画のような質感も表現できます。ところがこの世界を自宅に持ち込むには、1台100万〜150万円ものハイエンド製品が必要になります。しかし趣味で映画を見るだけとなると10万円でも高価。ましてや100万円以上なんて出せないというのが普通の感覚です」(宮川氏)

 「さすがに10万円は無理ですが……」という宮川氏だが、29万8000円(同社直販サイトShop1048での価格)というプライスは、日本で販売されている720P対応DLPTM機としては最安値である。少し頑張れば手に入る。そんな価格レンジに720P対応DLPTM機を降ろしてきたのだ。

 ただしこだわっているのは価格だけではない。同氏が“ハイエンドの世界を見てもらうこと”と言うように、100万円クラスのDLPTM機と全く同じではないにしても、近い画質を実現できなければ、ハイエンドを見せるという目的を達成することはできないからだ。

 実は東芝も2年半以上前に、100万円クラスのハイエンドDLPTM機を販売していた事がある。日本以外の市場には、その後継機種も出荷していたが、日本市場では大きく時間を空けてのTDP-MT700J投入だった。本当にこの価格帯でDLPTMの高画質を味わえるものだろうか?

日本人向けに入念にチューニングされた画質

 TDP-MT700Jの核となっているDMD素子は、コントラスト向上技術としてDarkChip 2が採用された720P対応チップの「HD2+」。これにRGB×2構成の6セグメントカラーホイールを組み合わせ、2400:1の高コントラストを実現している。

 250ワットの高圧水銀ランプとの組み合わせにより、ハイモードで1000ルーメン、スタンダードモードで800ルーメンの明るさも実現した。数字だけを見ると暗い印象を持つかもしれないが、一般的な透過型液晶パネルを用いたプロジェクターに比べると、同じルーメン値でも本機の方が明るく感じる。スクリーンに直接照明が当たらなければ、灯りを多少暗くするだけでもテレビ番組ぐらいならば十分に楽しめてしまうだけの明るさがある。

 低価格のホームシネマ用DLPTM機の中には、コッテリとした色ノリで彩度が高めの絵作りの製品が多い。洋画の場合、その方がキレイに見える場合もあるが、この方向が行き過ぎるとややシツコクなり、ノイズ感も増幅される。特に肌色は顕著で、日本人の肌が濃厚過ぎたりといった弊害が出る場合もある。

 TDP-MT700Jの絵はノイズ感が少なく、肌色はスッキリと透明感のある色で描写する印象だ。彩度を無理に引き上げる印象がないため、階調の破綻も少なく立体感が損なわれたと感じるシーンも少ない。パッと見の印象は薄いのだが、一般的なテレビ放送から音楽DVD、映画まで、あらゆるソースで得手不得手を感じないところは、映像機器メーカーとしての経験が生きているのだろう。

 「DVDはもちろんですが、せっかくの720P対応DLPTMですから、その解像感の高さを実感して欲しい。東芝は業務用で大会場用のハイビジョンプロジェクターも開発してきました。ハイビジョン対応機器の経験も長く、ハイビジョンをいかに美しく見せるか。信号処理部分に多くのノウハウを持っているんです(宮川氏)」

 こうした入念なチューニングに加え、エンドユーザー向けには詳細な調整機能も提供している。プロジェクターはスクリーンや周囲の環境によって、同じ製品でも投影される絵の印象が変化する。投射環境に合わせた設定値の追い込みは、DLPTMの画質に魅入られたユーザーなら調整に挑戦したくなるもの。本機ではRGBの細かな調整以外にも、ガンマ値のカスタマイズも行えるなど自由度は比較的高い。

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DLPの世界に飛び込むかどうか……、是非迷ってほしい

 高画質を安価に提供するためにはどうすればいいか。宮川氏の情熱から生まれたとも言えるTDP-MT700Jだが、そうした“キモチ”は製品の細かな仕様にも表れている。

 たとえばツヤ消しのホワイトの筐体は、塊感のあるモノリシックなデザインを採用。これは「リビングの天井に取り付けても違和感がないように」との配慮から生まれたものだ。

photo ツヤ消しのホワイトの筐体は、塊感のあるモノリシックなデザイン

 加えて動作音はとても静か。空冷設計を工夫してランプの冷却効率を上げているのも理由のひとつだが、あえてカラーフィルターの切り替え速度を4倍速に抑えた事も静かさに貢献しているという。DLPTMは高速でカラーホイールを回転させる必要があるが、5倍速モードでホイールを駆動させると高周波の不快なノイズが目立ってくるため、あえて4倍速モードをチョイスしたという。加えて4倍速に抑えることで階調表現も滑らかになる。

 スペック値だけを見ると2400:1というコントラスト比だけに、“たいした事はないのでは”と思うかもしれないが、DLPTMらしいコントラスト感は十分以上のものだ。明るいプロジェクターだけに、全黒の画面だけを見ると黒浮きして見えるものの、白ピークがキレイに伸びているためトータルのコントラスト感はとても高い。

 設置性の面では、残念ながらレンズシフト機能は搭載されないが、レンズセンターが画面下端に来る設計のため、テーブル置きでも、天吊設置でも、あるいは棚に置く場合でも、ムリのない計画が組める。100インチの投射距離も3メートルと短く、1.3倍ズームレンズとともに日本の家庭でも使いやすい設定だ。

photo レンズセンターが画面下端に来る設計のために設置の自由度は高い。短焦点1.3倍ズームレンズは日本の家庭でも使いやすい

 「売れ筋の20万円の液晶プロジェクターと30万円を切るDLPTM。購入時に迷う人も多いでしょう。比べてみれば、黒の締まりとコントラスト、境目のない滑らかな質感などでTDP-MT700Jが優れていることが一目でわかると思います。液晶とはまだ若干の価格差はありますが、ぜひとも画質と価格差を比べながらおおいに迷ってください。そしてハイエンドDLPTMの世界に触れてみてほしい」(宮川氏)

 控えめに話す宮川氏だが、その目には力強い自信がみなぎっていた。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日