CEATECでの一般への実機展示も今回で2回目となり、新たに55インチサイズのカットモデルも展示。いよいよ来年春の発売に向け、パネル製造の現場もロングスパートをかける時期に入ってきた。
夢のデバイスと言われ、今でも実用化できる事そのものが「不思議なくらい」とまで言われるSED。現時点での開発状況について、東芝・ディスプレイ・部品材料統括SED開発担当参事の森慶一郎氏に話をうかがった。
――まずは簡単に現在の開発ステータスをお話しいただけますか?
森氏: 現時点では当初の予定通り計画は進捗しています。パイロットラインでは、これまで36インチの試作パネルを中心に生産にあたってのノウハウやデータを収集してきました。一般に公開しているパネルも、やはり36インチでしたが、今回のCEATECでは初めて55インチフルHDパネル搭載試作機のカットモデルを展示しています。
――それはCEATEC直前ぐらいから「55インチパネルの生産を開始しましたよ」というサインなのでしょうか?
森氏: いえ、55インチパネルは8月から量産試作のラインを動かしています。今回は実際にそのサイズのパネルを初公開したという事です。
――CEATEC期間中に55インチパネルが実際に動いているところをデモするのでしょうか?
森氏: 今回はカットモデルのみの展示を予定しています。(絶対に公開しないの? との質問に)55インチ試作機の画面は残念ながら今回はお見せできません。まずは生産を開始している事をお知らせしたかったのです。
――本格的な量産に向けての計画はどのようなスケジュールになっているのでしょうか?
森氏: まず、来年の春に投入する初代機は、現在のパイロットラインで生産する55インチパネルを採用します。量産に向けてのノウハウを蓄積するためのパイロットラインですから、ここではさほど多くのパネルを生産することはできません。マザーガラスのサイズも、55インチ1枚取りと小さめです。本格的な量産は、2007年に稼働する東芝・姫路工場が完成してからとなります。この時点で、大小さまざまなバリエーションモデルを作ることが可能になります。
――姫路工場では、どの程度のマザーガラスで生産する予定なのでしょうか?
森氏: それは現時点では申し上げられません。現在、市場のトレンドや技術的な情報から検討中です。SEDを使ったテレビを本格的にラインアップするようになるのは、このころからということになります。
――実際のSEDを見ると、固定画素ならではの精細感はありますが、基本的な絵の傾向はブラウン管と非常によく似ていますね。原理的に当然と言えば当然ですが、ではブラウン管に勝る部分はどこであると考えていますか?
森氏: 今回のCEATECでは、ブラウン管を用いたテレビとの比較展示を行っています。固定画素ディスプレイですから、フォーカス感がよく周辺に行くほどボケが出るブラウン管ならではの欠点がSEDにはありません。
あとはというと……、黒がキチンと沈んで動画がボケず、コントラストが高いなど、ブラウン管とほとんど同じ特徴になってしまいますね。言い換えれば、ブラウン管の真ん中の部分、ここが最もフォーカス感が良く画質的には有利なのですが、その部分だけが画面全体に広がったのがSEDだと思っていただけると、SEDの画質の良さを想像していただけるのではないでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR