ITmedia NEWS >
コラム
» 2005年10月27日 17時05分 公開

西正:ペイテレビと広告収入 (1/2)

ペイテレビにとって、加入者増、解約防止と並ぶ大きな課題は、広告収入の増加だろう。専門ジャンルに特化したチャンネルが多いので、ターゲットが絞りやすいなど、色々なアピールはなされているが、なかなか目に見える成果は上げられていないようだ。

[西正,ITmedia]

伸びない広告収入

 日本でもペイテレビの普及が少しずつ進んでいるが、相変わらず広告収入が伸びず、広告媒体として過少評価されていると嘆く声を耳にすることが多い。

 わが国のペイテレビのパイオニア的な存在であるWOWOWは広告収入に依存していない。テレビはタダで見られるのが常識であった時代には、有料でありながらCMを入れるとは何事かといったクレームが殺到しそうな状況であったことは確かだろう。そこからスタートしたWOWOWが今でもほぼ視聴料収入のみに依存していくスタイルを変えないことには、それなりのポリシーも感じられる。

 しかし、パーフェクTVの登場を機に台頭してきた衛星デジタル多チャンネル放送の各事業者の場合は、視聴料収入中心でスタートしたとは言え、有料・広告並存モデルが目指されていることは間違いない。WOWOWのような総合エンターテイメントチャンネルとは異なり、何か特定のジャンルに特化したチャンネルが多いという極めて米国型のペイテレビのモデルを踏襲することになったからである。

 米国系のペイテレビがそのまま日本に進出してきたケースが多いのに加えて、事業を立ち上げる段階から米国系ペイテレビのビジネスモデルを参考にしていた事業者が多かったという事情が大きいのだろう。

 米国のペイテレビは視聴料収入と広告収入を二本立ての柱として事業を成り立たせている。世界各国に進出しているチャンネルも少なくないことから、どうして日本では広告収入が伸びないのかと本国から問い質されることも多いようだ。そうした場面で、広告収入に依存する地上波放送が圧倒的に強いという日本の放送業界の特殊性を訴えても、あまり意味がないであろう。視聴料と広告収入の二本立てで事業を成り立たせていくモデルは、世界的に見れば極めて当たり前のものだからである。

 米国のペイテレビの視聴シェアは5割を超えているのに対し、日本のペイテレビの場合はようやく2割弱まで来たところである。ただ、ほぼ10割を占める地上波放送の広告収入が2兆円規模であるのに対し、CAB-J(衛星テレビ広告協議会)会員社42局の広告売上合計はわずか151億円(03年度)である。これではあまりに少ないと考えられるのもよく分かる。

 もちろん視聴シェア2割といっても、ケーブルテレビのベーシックパッケージに入っているチャンネルにとっては、そのケーブルテレビの加入世帯がイコール視聴世帯として報告されている。視聴可能世帯と視聴世帯が違うことは、広告主からすれば無視できない重要事項である。とすれば、このまま視聴シェアを3割、4割と上げていったとしても、おそらくそれに見合った広告収入を得ることは難しいだろう。

 そのことは民放キー局系のBSデジタル放送各社の状況を見ていても明らかだ。BSデジタル放送の視聴可能世帯が1000万に到達したということを、各チャンネルを挙げて宣伝しているが、肝心の広告収入の方は一向に大きく伸びていく気配がない。

 民放キー局のようにテレビ広告の取り扱いに熟知したテレビマンが運営していても、BSデジタル放送の方は地上波のようには行かないのである。これなど、視聴可能世帯がいくら増えたところで、広告収入は増えてこない――ある意味では、誰がやっても同じことだということの好例だろう。

広告収入は伸びていくのか?

 地上波の視聴率がアバウトなものであることは確かだが、そうは言っても広告収入を伸ばしていこうと考える以上、何らかの指標がないことには話にならない。

 そうした要望にいずれは応えられるようにと、番組統括会社のジュピター・プログラミングがメディアウオッチという時計型の視聴率測定システムの実験を行うとか、いち早くデジタル化したケーブルテレビ局がデジタルSTBを使って独自に各チャンネルの視聴率を把握しようという試みも見られ始めている。そうした試みがいずれ功を奏する日が来るかもしれない。

 しかし、あまり悲観的に考えるのもどうかとは思うが、それでもペイテレビの広告収入はそう簡単には伸びていかないように思われる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.