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» 2005年12月30日 00時00分 公開

ホームプロジェクター購入のポイントバイヤーズガイド(2/4 ページ)

[本田雅一,ITmedia]

・透過型液晶パネルかDLPか

 とかく比較されがちな透過型液晶パネル方式とDLP方式。つまり表示デバイスの違いによる差だ。しかし、この両者は全く特徴が異なり、必ずしもどちらかが良いと結論づけできない。

 絶対的なコントラスト比では、D5パネルが登場した現在でもDLPの方が有利だ。また家庭向けDLPは基本的に1枚の素子で映像を作るため、デバイスのズレで解像感が落ちず、デジタル駆動により色の安定が良い、色ムラが少ないなどの長所もある。

 その一方、DLPは階調表現が不得手で、暗部階調が(一部高級機を除き)誤差拡散表現でノイズっぽく見えるのが欠点と言われてきた。しかし三菱電機の「LVP-HC3000」は、新型の駆動回路と新DMD素子を用いることで、低価格で階調表現もなめらかなDLPとなっている。

 一方、透過型液晶プロジェクターは階調表現が得意。パネルレベルで8ビットの階調が可能で、ドライバレベルでは10〜12ビット駆動される上、RGBの3原色ごと独立したパネルからの光を合成して色を作り出しているからだ。以前は色ムラが目立つ事も多かったが、今年のモデルならば、どれを購入しても画面全体が同色で塗られるような場面でなければ不満はないだろう。

 コントラスト比に関しても、最新のD5パネル搭載機ならば、表現力に問題を伴うほどではない。液晶テレビが500:1〜800:1程度のコントラスト比しかない事を考えれば、DLPほどの強烈なコントラストはないものの、必要十分の性能はある。

 問題はむしろ暗いシーンでの黒浮き感だ。黒浮き感はコントラスト比の不足もあるが、視聴環境、投射サイズ、スクリーン特性、プロジェクターの光量などと密接に関係しており、黒レベルを適度なレベルに合わせ込めば気になりにくい。

 家庭向けプロジェクターは真っ暗な環境でホワイトマット系のスクリーンに100インチ程度で投射した時にちょうど良くなるよう調整されているので、120〜80インチ程度のスクリーンサイズで導入を計画すれば、おおむね機器の性能は生かせるはずだ。

機種別のおすすめユーザータイプ

 では今年の720Pプロジェクターに関して、具体的にどのようなユーザーにマッチした製品なのかを紹介していくことにしよう。以下、レビューを掲載した順に挙げていく。

セイコーエプソン

明るさと画質を両立したD5パネル機――エプソン「EMP-TW600」

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プロジェクター用新型透過型液晶パネル「D5」を採用したエプソンの「EMP-TW600」。これまでの常識を覆し、明るいところから暗いシアタールームまで、状況に応じた高画質を楽しめる完成度の高い1台だ。


 セイコーエプソンの「EMP-TW600」は、1.5倍ズームながら上下左右のシフト自由度が高い点が魅力。この点は後述する「LP-Z4」と同じだが、抜群に明るい170ワットのE-TORL(Epson-Twin Optimize Reflection Lamp)ランプで最大1600ルーメンの明るさを引き出しつつ、新エプソンシネマフィルタで赤や緑の純度を上げて暗室での高画質も狙った製品である。

 ただし1600ルーメンとなるのはダイナミックモード時で、この場合の色再現性は低い。実際にやや明るめの環境で使う場合はリビングモードの利用が中心となる。リビングモードでは、直接スクリーンに光が当たるような環境でなければ、十分に楽しめる明るさがある。おおよその目測だが1200ルーメン程度のパワーはあるのではないだろうか。

 一方、真っ暗な環境で使用するユーザーにはシアターブラック1と2がある。いずれも非常に素直な色再現で階調もよく、色かぶりが少ない。緑が黄緑に寄らず、赤も赤黒くなったり朱色に寄る事なく美しい。多少、肌色が赤く出るクセがあるが、肌調整機能で好みの方向に合わせ込むことも可能だ。

 ただしシャープ感にやや欠ける傾向はある。これはレンズ描写力の問題ではなく、映像回路の設定の違い。映画のなめらかな質感を表現するために、あえてエッジを甘めに調整しているようだ。

 幸い、本機には空間周波数ごとにシャープさを調整する機能があるため、甘いと思うのであれば、高域のシャープネスをプラス方向に調整することでエッジを立たせる事もできる。ボケている部分までエッジを立てようとはしないため、S/N感をさほど悪化させずにシャープさを上げる事ができる。

 明るい環境と真っ暗な環境。両方で使うことが多く、さらに設置の自由度が必要というユーザーには勧めたい。個人的には三洋電機「LP-Z4」とならんで気に入っている製品のひとつである。

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