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ミニコンポから携帯まで、幅広い普及を狙う2ch音響技術「Audistry」2006 International CES

» 2006年01月07日 19時34分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 Dolby Laboratoriesの関連企業であるAudistry LLCは、「2006 International CES」で2チャンネルオーディオを対象とした音響効果技術「Audistry」を発表した。

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 以前からDolby Laboratoriesは「ドルビーバーチャルスピーカー」や「ドルビーヘッドフォン」といった仮想サラウンド技術の開発・製品化を積極的に行っているが、Audistryは2チャンネルオーディオに特化した技術として、ドルビーブランドではなく新会社を設立してのブランディングが行われる。

 Audistryは、携帯電話やポータブオーディオプレーヤー、ミニコンポ、テレビなどへの搭載を狙いとしており、以下の5つの技術から構成される。

Sound Space Expander ステレオ感をより拡張する。左右のスピーカーが接近している場合でも、音の位相を保持したままで自然なステレオ感を作り出だす。結果として全体の臨場感を高めながら、同時にセンターに位置するボーカルなどの明瞭性も高くなる。

Sound Space for Headphones Sound Space Expanderをヘッドフォン用に最適化したもの。左右の耳から入ってくる音が頭の中で像を結ぶ「頭内定位」を解決し、あたかもスピーカーで聞いているような自然な音を作り出す。

Natural Bass 低音波増幅アルゴリズム。「低音が出ているように感じる音」を作り出すのではなく、入力された音(周波数)の低い周波数成分(低音)をスピーカーの特性にあわせて増幅することで、小さなスピーカーでも豊かな低音を作り出す。

Intelligent Volume Control 音量バランスを自動的に調整するダイナミックコンプレッサー。この機能を用いれば、ボリュームを固定したままでも“人のささやく声”から“爆発音”まで快適に聞くことができる。従来のリミッターで見られた音の歪みや音声のつぶれも起こらない。

Mono-to-Stereo Creator モノラル音源をステレオ化する。周波数成分のバランスを保ったままステレオイメージを生成することで、あくまでも自然な聞き心地を実現する。

 これらの技術を、DSPもしくはソフトウェアとして実装することで、携帯電話やテレビ、コンパクトシアターシステムなどの音場をより豊かなものできるという。機器メーカーはこれらの機能を自由に組み合わせることが可能で、製品の利用スタイルにあわせたセッティングを施せる。各機能はON/OFFのみならず、パラメーターの設定も可能だが、どこまでをユーザーに操作させるかはメーカーの判断となる。

 既にシャープが同技術を導入した2.1chホームシアターシステム「SD-SP10」を発表、CESの同社ブースで展示している。SD-SP10は、リモコンに「Sound Space」「Natural Bass」「Intelligent Volume」「Mono to Stereo」のボタンが用意されており、ユーザーが任意で機能をON/OFFできる。

photo 「SD-SP10」。4月に販売開始予定で、価格は349.99ドル
photo SD-SP10のリモコン

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