「何年間、対立が続くかにもよりますが、ビジネスへの影響は小さなものではありません。あるいはプレーヤー市場が、大きくは立ち上がらないという事態の想定も必要かもしれません。ただし、レコーダーに関しては上位機種から順に各社がBDドライブを採用していきますから、放送やディスプレイのHD化とともに自然に家庭の中に浸透していくでしょう。また松下電器はROMメディアによる映像パッケージだけが、このビジネスの核だとは考えていません」
「確かにパッケージソフトだけでいえば、HD DVDと競合していると見えるでしょう。ハリウッドコンテンツの供給メディアは、技術的な優劣以外が勝敗を決めますから、思ったよりも両規格が併存する期間が長くなるかもしれません。しかし、より俯瞰した視点で見ると、HD DVDとBDは比較にもなりません。録画メディア、PC用データメディアなど、さまざまな用途の中で、記録型に関してはBDに圧倒的な優位性があります」
「BDアソシエーションには多くの企業が参加し、それぞれに得意な分野を持っていますから、どこかが利権を独占するのではなく、いろいろな企業が市場を部分的に共有しながら幅広いアプリケーションを生み出していくと思います」
――とはいえ、ハイビジョン放送よりもずっときれいなHDパッケージソフトの登場を待っている消費者もいるでしょう。新作映画がタイムリーに発売されるようになるには、どれぐらいの期間が必要になると思いますか?
「ハリウッド作品に関していえば、新作は年間でも200タイトルしかありませんから、これをすべてHD映像ソフトとして製品化するのはさほど難しい話ではありません」
――松下電器は米カリフォルニア州トーランスのPDMC(パナソニック ディスクマニュファクチャリング アメリカ)に、スピンコート方式の2層ROM製造ラインを構築しています。以前、1層については見学したことがありますが、2層ROMのラインは現在、どの程度の歩留まりを実現しているのでしょうか?
「われわれは先手を打って、きちんとROMの製造技術に投資を行ってきました。PDMCの2層ラインは技術的にはほぼできており、すでに提携先のオリジン電気が製造設備の販売メニューを持っています。シンラムやテクニカラーが、これらの技術を用いて製造を行うことになるでしょう。日本市場向けは松下電器自身が製造サービスを提供しますが、ハリウッドでは他社のお手伝いをする形です」
「ラインはすでに見学会を何度も行うほどに完成しています。歩留まりは1層ラインで8割をすでに超えており、2層は7割を目標に置いてプロセスの細かな部分を調整中です」
――インラインの検査装置で、不良ROMの検出も自動化できているのでしょうか?
「もちろん入っていますし、ディフェクトがきちんと行われているところを見ることもできます。ただし、当初市場では2層ではなく1層のROMが多くなるでしょう」
――今後はフォーマット策定の仲間であったBDアソシエーションに参加する家電メーカー同士の戦いになってきます。どのような部分でライバルに対する強みがあると考えていますか?
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