エクランド氏はまた、「この1年は試行錯誤の時期。さまざまなタイプのコンテンツをいろいろな仕様で発売し、その販売状況を見ながら、BDパッケージビジネスの傾向を探る」とも話している。
毎月の新作リリースを目玉として置きながら、いろいろなバリエーションの作品を用意し、その売り上げ動向を探るのがこの1年になるというわけだ。シンプルなオーサリングとしたり、特典映像をたっぷり入れたり、あるいはインタラクティブ機能を凝ってみたりと、映画のタイプだけでなくオーサリング手法に関しても試行錯誤を重ねる予定という。
また音楽が映画の大半を占める「ラストワルツ(有名アーティストのバックバンド解散を描いた有名なドキュメント映画)」と、映画中に流れるランメルモールのルチアが美しい「フィフス・エレメンツ」に関しては、非圧縮のリニアPCM(映画制作時のオリジナルである24ビット48KHz、5.1チャンネル、6Mbps)で収録するという。
非圧縮音声は、音質という面からは最高ともいえるが、しかし常に6Mbpsの帯域を消費するため、映像のピークビットレートが抑え込まれて画質が悪化しかねない。圧縮後も情報が失われないロスレスコーデック(Dolby True HD、DTS HDなど)は検討しないのか? との問いにも「BDは54Mbpsのメディア転送レートがあるため、画質への影響は無視できる。一方、ロスレスコーデックはどの程度の音質になるのか、ハードウェア対応状況を含め十分に確認されていないため非圧縮とした。ロスレスでも音質は変化する。ならば非圧縮の方がずっといい」(エクランド氏)と応えた。
しかしその一方で、映像に関してもかなり保守的な考えを持っているようだ。映像コーデックはH.264ではなくMPEG-2が使われる。MPEG-2は十分に熟成され、高画質化のノウハウも十分に蓄積され、現時点でリアルタイムのエンコーダーをはじめとするインフラが整っているためだ。
ところが、ビットレートはD-VHS相当の24Mbpsではなく、18Mbpsになるとエクランド氏は話す。1層BD-ROM向けのみかとも思ったが、2層BD-ROMでのリリースが予定されている「戦場に架ける橋」「ブラックホークダウン」も、18〜20Mbps程度のビットレートになる予定だという。
しかし昨年、同氏は40MbpsのMPEG-2を使えば超高画質を実現できると話していた。これは少々話が違うのではないか。これに対してエクランド氏は「18Mbpsはあくまで平均値。ピークでは30Mbpsに達するため問題はない」と断言する。
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