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1年で150本近いタイトルを投入する――Sony Pictures次世代DVDへの挑戦(3/4 ページ)

» 2006年02月03日 22時28分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 現在、われわが見ているハイビジョン放送は、すべて固定ビットレートのMPEG-2として映像が配信されている。これに対して光ディスクには、主に可変ビットレートでエンコードが行われる。

 MPEG系の技術では、固定ビットレートの場合、シーンチェンジなどで大きく場面が転換する部分で画質が落ちやすく、一度落ちた画質も差分の情報が増えることで回復するといった振る舞いをすることが多い。また、さらにビットレートが落ちてくると四角い圧縮単位ごとのノイズが見えてくるという具合だ。

 これが動画内容を分析してから可変ビットレートで収録すると、シーンチェンジで多くのビットを使い、MPEGの効率が良くなる。また似たテクスチャが連続し始めるとビットレートを抑えるという効率の良いビット配分が行える。

 くわえて同氏が強調したのがMPEG-2の圧縮技術そのものの進化だ。「MPEG-2は発明されて10年以上が経過し、画質を向上させる手法が確立している。またH.264よりも圧縮時の負担が少ないため、自動的に最適化しながらリアルタイムの圧縮を行う余裕もある。このところのエンコーダーの進化により、平均18Mbps、ピーク30Mbps(メディア転送レートでのピーク値)でも、見た目にはロスレスに近い」(エクランド氏)。

 では実際にその映像を見せようといわれ、左半分がベースバンド(非圧縮)映像、右半分が18MbpsのMPEG-2映像というシチュエーションで「ロック・ユー!」という映画を見せてもらった。

photo 映像を視聴したオーサリングルーム

 冒頭、主人公が初めて騎士同士が競技に挑むシーン。多くの観客と背景の木々など、高周波数成分が多い場面、あるいはシーンチェンジの頻繁なところなども含まれていたが、エクランド氏が主張するようにさほど歪み感がない。厳密にいえば、木目など細かい模様が入るところにノイズが見えることもあるが、ほぼ不満ない映像になっているのに驚いた。

photo 左がベースバンドで右半分が平均18MbpsのMPEG-2。写真だけでは判別できないだろうが、実際の画面上、あるいはQUALIA 004で投影した120インチ画面上でも、ほとんど左右の違いは判別できなかった

 “驚いた”というのは、CESでデモしていた同じSPEの40Mbps映像と比べてもクリーンな絵が出ていたからだ。CESでは評価の低かったソニーのMPEG-2映像だが、もしここでのデモぐらいの画質があれば、あまり批判されることもなかっただろう。また、同じくSPEが作成したBDのテストオーサリングデータを同時期に見たのだが、そちらは決して褒められる画質ではなかった。

 スプリット映像の場合、圧縮した映像をデコードし、ベースバンドに直してから映像を並べて収録しているため、ビットレートをその場で確認するまではできない。このため、実は今でも半信半疑なところはあるのだが、北米で4月に発売されれば、そのもやもやの答えも出ることだろう。

499ドルプレーヤーはー脅威ではない

 さて消費者としては、BDのパッケージソフトが果たしてどの程度の価格で発売されるのかも気になるところだろう。

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