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「iPod Hi-Fi」を早速使ってみたレビュー(2/2 ページ)

» 2006年03月06日 13時54分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 本体の操作インタフェースはUniversal Dcokの前に設けられたボリュームボタンのみとシンプル。ボタンは感圧式で、触れるだけで音量調節が行える。操作は付属のApple Remoteでも可能だが、Apple Remoteから操作できるのは、再生/一時停止、次曲送り/前曲戻し、早送り/早戻し、音量調節と基本的な操作にとどまる。

 Apple Remoteで操作可能な範囲は有線リモコン(iPod Radio Remote)と同等で、プレイリストの切りかえや再生カテゴリの変更などはiPod本体から行う必要がある。なお、Apple Remoteの「MENU」ボタンを長押しする(あるいはiPodを取り外す)と、iPod/背面入力端子の入力切りかえが行われる。

photophoto Universal Dockの前に用意されているボリュームボタン(左)、Apple Remote(右)

 iPod nanoならびに第5世代iPodを接続した際に限り、iPodのメインメニューに「スピーカー」の項目が表れ、簡単な音質調整とバックライトのON/OFF、アートワーク拡大表示(前画面表示)のON/OFFが行える。音質は「標準」「Treble Boost」「Bass Boost」の3つに調整できる。

photophoto 第5世代iPod装着時に表れた「スピーカー」の項目(左)、アートワークの拡大表示をONにすると再生中はこのような画面になる(右)。拡大表示がONでも、アートワークが未設定の場合は何も表示されない

低音重視のサウンドチューニング――iPodの楽しさをひとりからみんなへ

 今回は手元にあったiPod nanoとiPod Photo(30Gバイト)を装着してみた。セットアップは非常に簡単で、対応したアダプタとともにiPodを差し込むだけだ(アダプタなしでもセットできるが少しグラグラする)。その後に好みの楽曲を選べばiPod Hi-Fiから音が流れる。ただ、iPod Photoは本体のクリックホイールを回しても音量調節が行われなかった(双方ともiPod Updater 2006-01-10適用済み)。

 iPod Hi-Fiをリビングのサイドテーブルに置き、それぞれのiPodに収納したMP3(ビットレート160kbps)とiTunes Music Storeから購入したAACをiPod Hi-Fiから鳴らしてみた。このサイズのスピーカーユニットとしては低音の押し出しも非常にしっかりしており、130ミリウーファーの威力を感じる。

photo 今回の試聴環境

 気になるところもある。開封直後であることを差し引いても中高域の伸びが今ひとつで、ソースによって低音が前に出すぎた、くぐもった音に感じた。この現象はライブ盤に顕著で、試聴したソースのひとつ、Oasisの「Familiar to million」ではボーカルが奥に入り込んでしまい、聞き取りにくさすら感じた。

 快適に聴けたのはクラシック、ソフトロック、ジャズ、ヒップホップなどで、低域が重視される楽曲の再生に向くようだ。iPod側でイコライザーを適用するとかなり印象が変わるので(iPod nano、第5世代iPodならば「スピーカー」のTreble/Bass Boostを適用するだけでも)、ロックやボーカルメインの楽曲を聴く場合には積極的に活用したい。

photo 底面のラバーシートには「iPod」の文字

 本体幅の影響もあり、正面に座ってもステレオ感は薄い。しかし、意図的にステレオ感を強調するよりも、音像を広く室内に伝播させるチューニングとなっているようで、部屋全体に音を行き渡らせる使い方に向いているといえる。ジョブズ氏が、本製品について「リビングルーム、寝室、キッチンなど場所を選ばずに配置でき、かつ高音質な再生環境が実現できる製品が必要だ」と説明した通りの味付けといえる。

 iPodに対応したスピーカーユニットはボーズの「SoundDock」やAltec Lansingの「inMotion」シリーズなど既に多くのサードパーティーから登場しており、スペックだけを眺めてしまうとiPod Hi-Fiにさほど大きな特徴はないように思えてしまう。

 しかし、意図的に部屋全体へサウンドを行き渡らせるセッティングとされているほか、バッテリーによる駆動を備えたことで、iPod Hi-FiはiPodを“どこでも、誰とでも楽しめる”製品とすることに成功している。単なるスピーカーユニットとしてだけではなく、iPodの楽しみ方をより拡大したいというユーザーに勧められる製品だ。

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