使い古された感のある「ハイテク系家庭商品」というジャンルの商品だが、それらをその最終的活躍の場である「家庭」に届けるショップは、通販などを中心に米国では古くから存在し、今もその取扱商品を少しずつ変化させながら根強く生き残っている。
日本では、ITクライアントの代表でもあった「パソコン」の価格崩壊が起こってから、多くのPC製造企業は「業務特化した企業向けPC」の製造や販売に軸足を移した。同時に、個人向けPC販売の多くを担ってきた専門店は姿を消したり、あるいはデジカメやデジタルオーディオ、ケータイ電話などの非PC専門店などに転向する販売店も増加した。
日本の特徴は、あくまで90年代に爆発的に増殖したPCショップが、PCバブルの崩壊とともに、軸足を変えながら生き残りをかけた活動を継続して来たことだ。それらの活動が、今ある店舗スタイルや専門店の販売商品ラインアップを形作っていると言っても間違いないだろう。
一方、米国では、「IT系専門店」のルーツが、歴史のある「文具屋さん」であったり、血圧計やマッサージ機などを販売する「健康器具屋さん」であったり、既になんと80年代から存在した「お馬鹿グッズ」(Gadget)屋さんであったりしていたことが特徴的だ。そして、日本を含むアジア圏の各国のように、余りにも超専門的な店舗に変貌し、マニアックな奈落の底に落ち込んで行くことは少ないようだ。
PCを除く「IT系ガジェット商品」の世界でも、日本国内ではPCそのモノやPCを取り扱ってきた販売店や経験者が携わるケースが多い。その点、米国では、PCの存在とは余り関係なく、個人の生活やライフといったモノと、IT系ガジェット商品のダイレクトな結びつきが強いように思うのだ。
これは、PCやIT文化と呼ばれるモノが、既にどれだけ生活に融け込みナチュラルなモノとなっているかどうかの判断基準にもなるのかもしれない。そういう意味では、米国から約10年強遅れてスタートした日本のパソコンワールドの日常としての遅れは、きっと未だに取り戻せていないのかもしれない。
そんな日本とは明らかに異なる歴史的且つ文化的背景を持つ米国の「ガジェット系アプライアンス」の供給大手は、「Sharper Image社」と「Brookstone社」の2社がビッグネームだ。何れもが、全米の大きな「モール」と呼ばれる大型のショッピングセンターには必ずと言って良いほどテナントとしてベストな位置を陣取っていることが多い。そのため、短期の旅行者や出張者でも簡単に立ち寄って、目的の商品を買い求めることは十分可能だ。
筆者は、たまたま持ち帰った米国系航空会社の機内通販誌に広告として掲載されていた「Desktop digital photo frame」(写真立て)を見つけた家族からのリクエストで、そういうモノなら必ず在庫していると思われるBrookstone社のショップに出かけてみた。
「Desktop digital photo frame」はアメリカらしい多少大袈裟なネーミングだが、単にデジカメの撮影済みのメモリーカードを挿入すると、任意のデジタルフォトをごく普通の写真立ての様に1枚だけ表示したり、全ての写真を順番にスライドショー表示してくれるデジカメメディア専用の「ハイテク写真立て」なのだ
結果として、同様のの機能だけを求めるなら、その動作や仕組みは、過去のiPodでも、最近は少し人気の低迷しているPDAでも、昨今の大型液晶画面とクレードル付きの国産のデジカメでも、可能なモノだ。もちろん「何でも出来るパソコン」に取っては朝飯前の機能だろう。
しかし、テクノロジー機能を満載した最新のデジカメやPDA、デジタル・ミュージック・プレイヤーのオプション機能としてではなく、究極の目的を単なる「Photo Frame」に置いた商品では、その木目細かな「感性」や「情感」が異なるのは間違いないだろう。目的の明確な先端IT技術製品の片手間に実現する機能ではない「Desktop digital photo frame」をご紹介しよう。
筆者の訪問したBrookstone社のブールバードモール店(ラスベガス)には「Desktop digital photo frame」のバリエーションが3〜4種類あったが、筆者はその中でも最小サイズの商品を購入した。
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