ITmedia NEWS >

「EQトレーナー」で“できる人”を目指してみるレビュー(3/3 ページ)

» 2006年03月28日 20時31分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 「感情の識別」トレーニングは、自分の感情を整理することを学ぶ。最初にユーザー自身が今の気分を喜怒哀楽から選び、その度合いもレベルゲージで指定する。そのあと、十数個の言葉が表示されるので、自分の気分に適していると思われるものを選んでいくのだが、「憤怒」「悠々自適」「リラックス」など、一見脈絡のない言葉が並んでいるので最初は戸惑うかもしれない。ポイントは、喜怒哀楽の度合いだ。

photo 複数の感情を指定することもできる
photo いろいろな単語から、今の感情に適したものを選んでいく。画面右端に黒い▲が表示されたときは、縦スクロールあり

 テストが終わると、トレーニングの正答率とともに「課長EQ」「部長EQ」といったランクが表示される。もちろん、偉くなるほど高得点だ。さらに博士のようなキャラクターが登場し、評価してくれる。

photo 各トレーニングの後には、博士キャラクターが登場して診断コメントやアドバイスをくれる

 測定結果やトレーニング結果は30日分まで保存し、グラフ化して参照できる。また、「情熱家タイプ」「変化対応タイプ」などの「理想モデルEQ」が用意されていて、自分のグラフと比較することも可能。グラフが近くなるよう、バランスをとって4つのトレーニングを行えば、自分が理想とするタイプに近づけるというわけだ。

photo 測定結果やトレーニング結果は30日分まで保存可能。グラフ化して見ることもできる

EQトレーナーはマニュアルか?

 実際に使ってみて、EQトレーナーは人によって異なる印象を受ける脳トレグッズだと感じた。ゲーム感覚で楽しめる人もいるだろうし、一方で前述の「感情の理解」トレーニングなどは、人間関係をマニュアル化しているようで嫌だという人もいるかもしれない。実際、上司や同僚との会話などケースバイケースだし、相手の性格やシチュエーションによって変わってくる部分も大きいはず。実生活に役立つのか? と疑問に思う人がいても当然だろう。

 トレーニングの目的にしても、仕事で失敗しても暗い顔は見せず「前向き」な気持ちであり続ける、トラブルに遭っても慌てない、ソリの合わない上司でも相手の気持ちを考えて行動する……など、ビジネスマンに限らず、大人であれば常識の範囲内にあることばかり。一言でいうと“正論”なので、むしろ「いわれなくてもわかってる」という反応のほうが自然かもしれない。

 ただし、それを普段から実行しているかといえば、自信を持って「している」と言える人は少ないだろう。「わかっちゃいるけど、なかなかできない」「わかっちゃいるけど、忘れていた」。EQトレーナーは、ついつい忘れてしまいがちな“心構え”を繰り返し主張することで、自分の精神状態を客観的に見直すように習慣付けるツールなのだ。偏差値やグラフ、ゲーム性といった部分は、むしろ継続して使わせるための道具といえる。

 実際、問題に慣れてくると、ほんの数日でEQ偏差値は10〜15も上がるのだが、トレーニングの効果は点数よりむしろ、日常生活で気づくはずだ。たとえば、なにかトラブルが生じて、慌てている自分に気が付いたら、それはトレーニングの成果といえるのかもしれない。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.