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PCの音楽ライブラリを家族で楽しむ――“TRANSGEAR”「APX-300」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年05月19日 16時07分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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LANへの導入は簡単だが、若干の注意点もあり

 ライブラリ(PC)側の準備ができたところで、本製品の設定を行う。電源を入れたのちに利用言語の選択を行うと設定ウィザードが起動するので、そこで利用するネットワーク(SSID)、DHCPを利用する/しない、プロキシサーバを利用する/しないなど答えていけば設定は終了する。再起動を経て、画面の左上に「APX-300」と表示されれば設定は完了だ。

photophoto PC側からAPX-300はUPnPデバイスとして認識され、「マイネットワーク」から確認できる

 有線/無線LANは排他利用になっており、イーサネットケーブルを差し込んだ状態で設定ウィザードを立ち上げると有線LANに関する設定項目しか表れない。しかし、設定項目をプロファイルとして3つまで保存可能できるので、切り替えながらの利用はできる。

 基本的にウィザードをたどっていけばネットワーク設定は完了するが、LANの構成によっては若干の注意が必要だ。1つのルータから本製品とUltimate CSをインストールしたPCの双方がIPアドレスを受け取っている場合、PCのインターネット共有設定を有効にしておくか、プロキシサーバを構築しておく必要がある。セキュリティ上の観点から共有設定をオフにしている人もいるはずで、確認しておくべきだろう。

 また、本製品とUltimate CSは常に通信できる状態にしておく必要があるため、PCでファイアウォールやパケットフィルタを利用している場合、それらを一部無効にする必要もある。

 PC/本体側双方の設定が完了した状態で、本製品を起動するとディスプレイに「××_MediaServer」という項目が表れる(××はLAN上のPC名)。Ultimate CSに登録した音楽を聴くには××_MediaServerから「Music」と選択し、アルバム/アーティスト/ジャンル/年の各項目から楽曲を選べばいい。「Video」「Photo」という項目もあるが、本製品は動画/静止画の再生能力を持っていないので選択しても意味がない。

photo 再生中の画面

 選曲操作はリモコンの上下左右と「OK」ボタンのみで行え、再生中の操作についてもリモコン最下部にある再生/一時停止、早送り、早戻しのボタンで直感的に行える。リモコン操作に対する反応も機敏だ。ネットワーク接続が完了すれば、あとはスムーズに操作できる。

photo 日本語表示も可能だが、液晶の解像度が低く、漢字によっては文字化けしてしまう。写真の曲は「色褪せたアルバム」だが、「褪」という文字が表示できず「色?せたアルバム」となっている

 ただ、ライブラリソフトのUltimate CSは曲管理を「アーティスト名」「アルバム名」「年」「ジャンル」の4つでしか行っておらず、各カテゴリ内のファイルはファイル名称のアルファベット順で再生されてしまう。そのため、本製品からあるアルバムを冒頭から再生したいといった場合、プレイリストを作成するしか対応方法がない。WindowsMediaPlayerのプレイリストファイル(.WPL)も読み込み可能だが、使い勝手という意味では早急に改善を求めたいポイントだ。

インターネットラジオも快適に楽しめるが、細部の改良が必要か

 インターネットラジオも楽しめる。本製品はvTunerが提供するインターネットラジオサービス(無償版)を利用可能で、出荷時にも1000以上のチャンネルがプリセットされているほか、「設定」―「インターネットラジオ」―「自動更新」をオンにしておけば、随時楽しめるラジオ局が追加されていく。手動で局を追加することも可能だ。

 いまひとつメジャーになりきれていない感もあるインターネットラジオだが、本製品で実際に利用してみるとなかなか楽しい。BGMにはちょうどいい感じだ。音のクオリティや内容は曲によってまちまちで、プリセットには日本語の番組もほとんどないのだが、本製品のように手軽に使える機器があると、利用する機会も増えそうな気がする。


 常時接続が一般化した今、普段はPCを起動しっぱなしというユーザーも増えているかと思う。そうしたPCにライブラリを構築し、本製品をリビングのミニコンポに接続しておけば、家族みんなでデジタル化した音楽ライブラリをいつでも楽しめる。

photo

 LANへの導入も容易なほかリモコンを使用した操作もわかりやすく、ネットワークオーディオプレーヤーとして必要十分な能力を備えている。オマケのように思えたインターネットラジオも、FMラジオのかわりと考えれば利用する機会も多そうだ。

 それだけに、お世辞にも高いと言えない本体の質感や低い液晶解像度など、細部に見られる作り込みの甘さが気になってしまう。ライブラリソフトのUltimate CSもまだまだ改良の余地がある。1万7800円(直販価格)という価格をどう見るかは人それぞれだが、個人的にはあと2000円プラスしても、リビングへ設置するにふさわしい質感をプラスして欲しかったと思う。

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