付属するヘッドフォンは「VISION:M」などに付属する製品と同じくバーの長いタイプ。本製品と組み合わせて試聴してみると、低音が響きすぎる印象はあるものの、同社製品らしく落ち着いた感じのサウンドを奏でる。目立ったクセは見あたらず、ソースを選ばすに利用できそうだ。
中域から高域にかけてのヌケはやや物足りない気もするが、同時に発表されたインナーイヤーヘッドフォン「Creative ZEN Aurvana In-Ear Earphones」を組み合わせてみたところ、印象は劇的に変わった。付属品と9800円(直販価格)の製品を比べること自体が酷なことなのは十分に承知しているが、ポータブルオーディオプレーヤーにおいてヘッドフォンが占めるウェイトの高さを改めて感じさせた。
このほか、本製品はライン入力からのダイレクトレコーディング機能と内蔵マイクでのボイスレコーディング機能なども備えており、ポータブルオーディオプレーヤーとしては十分すぎる機能を備えている。また、Windows DRM 10に対応しているので、今秋の開始が見込まれている定額制音楽配信が利用可能なのもメリットだ。
本製品の価格は2Gバイト版が1万5800円、1Gバイト版が1万2800円(いずれも直販価格)で、カラー液晶を搭載した小型メモリプレーヤーとしては非常にリーズナブルな価格設定だ。グリーンやオレンジを差し色にしたポップなデザインは好みが分かれるかも知れないが、ポータブルオーディオプレーヤーとしては十分な機能と使い勝手を備えている。
機能的にはこれまでに発売された同社製品のスペックを踏襲しており、目新しさには欠けるかも知れない。しかし、コモディティ化の進むこのジャンルにおいては、突出した機能を搭載するより、「小型軽量」「カラー液晶」「価格競争力」といった各要素をバランスよく備えている方が市場に歓迎されやすいのが現状だ。本製品はグッドバランスのメモリプレーヤーと呼ぶにふさわしい。
ただ、気になるところもある。楽曲転送/管理ソフトとして用意されている「Creative メディアエクスプローラー」と「Creative MediaSource プレーヤー/オーガナイザー」は高機能ではあるものの、操作が煩雑であるように感じられることだ。細部を見てみれば腐心の跡もうかがえるが、「iTunesなみの直感的な操作が可能か」と問われると軍配は後者に上がるだろう。
とはいえ、価格面も含めてポータブルオーディオプレーヤーに求められる各種の要素を高い次元でまとめているのは事実。ライバルの“巨人”アップルコンピュータがメモリプレーヤー市場において、2005年9月のiPod nano発表から沈黙を守っているのは気になるところだが、市場活性化のためにも、同社には今後も一層の奮起を期待したい。
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