ITmedia NEWS >
連載
» 2006年08月01日 12時20分 公開

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:フルハイビジョンの真実 (2/4)

[西坂真人,ITmedia]

――フルハイビジョンが必要な「大画面」とは、どのくらいのサイズからなのでしょうか。

麻倉氏: 50V型以上はフルハイビジョンという動向は確実ですね。液晶ではすでに37V型で実現しているわけですが、プラズマも含めると日立が来年リリースすると発表している42V型がその境目かなという印象です。もっとも液晶テレビでは、32V型でフルハイビジョン化が行われるのは時間の問題でしょう。そのぐらいのサイズではフルハイビジョンの違いが分からないという意見もありますが、逆に言えば大画面でなくてもフルハイビジョンのメリットが分かる画質をメーカーが作ればいいだけです。このあたりはぜひ、頑張ってもらいたいですね。

――フルハイビジョンによる恩恵はどのような放送シーンで見られますか?

麻倉氏: 放送側を見ると、残念ながら地上デジタル放送は帯域の関係で1440×1080iですが、BSデジタルではNHKとWOWOWがすでに1920×1080iのフルハイビジョン放送を行っており、今年1月にはBS日テレがスロット増を帯域拡大に充ててフルハイビジョン化を実施しました。4月7日の同社のニュースリリースでは「BS日テレではBSデジタル他局に先駆け、フルスペック・ハイビジョンの高画質と音楽CD並みの高音質でお楽しみいただけます」と発表しています。具体的には「水平画素数を1920に増加し」と述べています。

 そうとう嬉しかったのですね。確かにBS日テレの放送を観ると、実際すごくキレイになったことを実感できます。特にスタジオ撮りの画質が非常によくなりましたね。このようにフルハイビジョンで送っているものは、スケーリング無しの1:1の画質で観たいものです。

 ただし、フルハイビジョンにふさわしい画質のコンテンツがどれだけ送られているのかという問題もあります。例えば地上デジタル放送に関しては1440→1920へのアップコンバートが必要なので問題がありますし、さらに放送局の送信側がいくら対応していても、使っているカメラや編集機がフルハイビジョンに対応するものが少ないという問題もあります。送る帯域は大きいのですが、コンテンツが小さいんですね。

――放送以外でのフルハイビジョンのトレンドは?

麻倉氏: それは、やはり次世代DVDでしょう。Blu-ray DiscにしてもHD DVDにしても“パッケージソフトでフルハイビジョン”という流れは同じ。せっかく次世代DVD対応プレーヤー/レコーダーを購入しても、ディスプレイがフルハイビジョンでなければその価値を発揮していないことになり、損している気分です。また、従来のパッケージソフトでもデノンのDVDプレーヤーなどに見られるように、ビデオスケーラーで1080pまでスケーリングした映像はフルハイビジョンディスプレイに1080pで出力するとやはり素晴らしいのです。DVDのような現行のレガシーメディアでも違いが分かることからも、これからフルハイビジョンが常識になってくるのが想像できますね。

photo 麻倉氏のシアタールームにある次世代DVD機器群。一番上にあるのが、最新の東芝HD DVD搭載HDDレコーダー「RD-A1」

――現在、市場では「フルハイビジョン=高画質」と喧伝されていますが。

麻倉氏: 営業現場ではフルハイビジョン=高画質を盛んにアピールしていますが、ユーザー側の選択基準としてはけっしてそうではないのです。気をつけなくてはいけないのは「画素=画質」では決してないことです。

 画質というのは解像度、S/N、コントラスト、階調性、視野角など、さまざまな要素がからみあって決まるのです。画素は基盤であるけどすべてではなく、パネル自体の性能、映像エンジンの性能、そして絵作りのノウハウなどトータルなものの効果で画質が決まるのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.