2005年8月4日にスティーブ・ジョブズ氏が開始を宣言した、iTunes Music Store(iTMS)のオープンから1年が経過した。その知名度から開始前には“黒船”とも称されたサービスについて、同社はどのような手応えを得ているのだろうか。来日した同社のクリス・ベル氏(iTunes プロダクト&ミュージック・マーケティング ディレクター)に話を聞いた。
ベル氏: まず申し上げておきたいのは、iTMSにとってまず大切なのはアーティストであるということです。最近ではユーミンやスピッツの楽曲が配信開始されていますが、反応は非常に良好ですし、アーティスト側からiTMSで楽曲を流通させたいという要望を受けることも増えてきました。
iTMSにはフリーダウンロードのコーナーも設けていますので、利用者からすれば、これまで知らなかったアーティストを発見できる良いチャンスになると思っています。また、全国のアップルストアではさまざまなミュージシャンによるストアライブも頻繁に行っています。
こうして音楽への取り組みを通じ、私たちはテクノロジーやコンピュータの企業というだけではなく、“ミュージックカンパニー”としての名声を得られているのではないかと思います。
――iTMSは2005年8月4日のサービス開始から1年がすぎました。どのような手応えを感じていますか?
ベル氏: うれしいことに、日本のどこを歩いていてもiPodを見ないことはありませんし、iTMSの登場によって、“iPodのエコシステム”が完成したと思っています。日本のユーザーにも、ワンクリックで非常に簡単に利用できるという使いやすさを高く評価してもらえていると想いますね。
iTMS利用者の音楽への情熱は、音楽業界にも伝わっていると思います。その証拠に配信楽曲数もスタート時の100万曲から200万曲へ増えていますし、アーティスト/レーベル側からもiTMSへ参加したいという熱意を感じます。
――日本国内のレーベルとの関係は良好ですか? いまだにソニー・ミュージックエンタテインメントの楽曲は、iTMSで購入できませんが……。
ベル氏: メジャー/インディーズ問わず、レーベルとの関係は良好です。iTMSを利用すればユーザーへ直接リーチすることができますからね。新規参加レーベルは規模の大小を問わず、いつでも歓迎していますよ。
――販売中の楽曲価格が変更されたり、ポップスがサウンドトラックとして登録されたりと、小さなトラブルもいくつか起こったようです。レーベル側とのコミュニケーション不足があったのではないでしょうか?
ベル氏: 日本国内にもiTMS専任のチームがあって、常にレーベル側へ責任を持って対処しています。それに、トラブルが生じてもすぐに対応できるよう、フルタイムで対応する人間もいます。
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