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顔を見つけるスピードは負けません――富士フイルムPhotokina 2006(1/2 ページ)

» 2006年09月28日 18時23分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 半世紀以上の歴史を誇るPhotokinaでも、会期中に社名が変更される会社は少なかっただろう。今回、富士写真フイルムが、そんな稀有な例の1社になる。

 同社は10月1日に持ち株会社制に移行することをアナウンスしている。持ち株会社(富士フイルムホールディングス)100%出資で設立する事業子会社の社名からは「写真」が外れて「富士フイルム」となる。Photokinaもちょうど10月1日まで開催。つまり、Photokina会期中(最終日)に社名が変わるのだ。

 初日からすでに会場をいろどるコーポレートロゴは、なじみ深い赤いFUJIのマークが外れて「FUJIFILM」をシンプルに力強く打ち出す新デザインのロゴに変更されていた。

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 同社のPhotokinaブースは、広大なブースエリアの半分を展示、もう半分を商談会場としており、さらに展示エリアは半分がデジカメ、もう半分がプリントソリューションになっている。AGFAの撤退、KODAKのブース規模縮小などPhotokinaでかつて隆盛を誇ったフィルムメーカーの栄枯盛衰が垣間見れるのが今回のPhotokinaの特徴だが、デジタル化に早くから取り組んできた同社は、「イメージングの世界を広げる」をテーマに、デジタル技術を取り入れつつ写真文化を守っていこうという同社の思いを具現化した展示を各所で繰り広げていた。

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デジカメは高速な顔検出機能をアピール

 デジカメ関連は前述のようにブースの4分の1のエリアを使ってアピール。同社の今回のイチオシは「Face Detection(顔検出)」機能。同機能を搭載した“ネオ一眼”FinePix S6500fd(日本名:S6000fd)を大画面モニターの下部に設置し、通り行く人の顔検出をスピーディーに行って、来場者を驚かせていた。「最大10人までの顔を最速0.05秒で検出し、ピントと露出を自動で最適化する。もともと店頭設置用プリントマシンに搭載していたイメージインテリジェンスの顔検出技術を応用した」(同社ブース担当者)

photophoto FinePix S6500fd(日本名:S6000fd)。カメラを見ている人(つまり被写体)の顔だけをしっかり認識し、横を向いて歩いている人の顔は検出しない

 高速に検出できる秘密は、新開発された顔検出専用のICチップ。専用チップ化することで他社の顔検出に比べて高速・多人数・正確な検出性能を実現している。

 「写真の被写体の約70%が人物といわれている。失敗写真の3要素(ブレ/逆光/ピンボケ)のうち、当社が積極的に進めてきた高感度撮影によってブレの問題は解決、今回の顔検出によって逆光時も顔をしっかり認識することで適切な露出で撮影できる。ピンボケも同様。失敗写真を劇的に減らせる」(同社ブース担当者)

 また、この顔検出機能を搭載したコンパクト機「FinePix F31fd」も展示されていた。こちらはFinePix F30に顔検出機能を追加したもの。日本での発売は、いまのところ未定という。

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