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HDMI 1.3、フル活用するコンテンツの登場は「時間の問題」

» 2006年11月10日 19時03分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 HDMI Licensingは11月10日、映像/音声のデジタルインタフェース規格である「HDMI 1.3」についての技術説明会を行った。本規格については、6月の仕様策定完了を受けて、既に説明会が開催されているが、対応製品であるプレイステーション 3の販売開始が目前となったため、同社では再度、その利点について訴求したい考えだ。

photo 「ディープカラー」の利点

 HDMI 1.3はバージョンナンバーこそ「1.3」だが、メジャーバージョンアップともいえる大きな改良が加えられている。帯域幅は4.95Gbps(165MHz)から10.2Gbps(340MHz)と2倍以上に拡大されているほか、1ピクセルごとに最大16ビットまで表現可能なディープカラー、最高で240Hzという高速なフレームレート、最高2560×1536ピクセルの高解像度サポートが大きな特徴として挙げられる。

 そのほかにも、より広域な色再現を可能にする次世代カラースペース「xvYCC」(関連記事)のサポートも行われるなど、映像についての機能拡張が目立つが、音声についても拡張が行われている。

 ひとつが映像と音声の同期を自動的に行う「リップシンク」。映像/音声の遅延を再生機側で検出し、同期を行うことで“聞こえてくるセリフと縁者の唇の動きがずれる”といった事態を防ぐことが可能になる。

photo Dolby True HDはDolby Digitalより広いビットレート範囲を持つ

 もうひとつが、「Dolby True HD」や「DTS-HD Master Audio」といったロスレスフォーマットのサポートだ。Dolby True HDは最大ビットレート18Mbps/14チャンネルまでの拡張が可能なほか、サンプリングレートも192kHzも高く、「スタジオマスターと同一のクオリティ」だという(Dolby LaboratorysのCraig Eggers氏)。

 HDMI 1.3に対応する機器としては、東芝のHD DVDプレーヤー「HD-XA2」(北米地域のみ)、セイコーエプソンのプロジェクター「EMP-TW1000」が既に発表・あるいは発売されており、11月11日にはいよいよ「プレイステーション 3」も発売される。HDMI Licensing LLCのスティーブ・ベヌーティ氏によれば今年度中に約6000万台のHDMI対応機器が出荷され、2009年には5億台にまで拡大するという。

 ただ、対応する機器が存在しても、超高解像度やディープカラー、xvYCC、Dolby True HDといったHDMI 1.3の特徴の恩恵にあずかるには、適応するコンテンツが欠かせない。HDMI 1.3の能力をフル活用するコンテンツはいつ頃から登場するのだろうか。

photo Silicon Imageのブレット・ケインズ氏

 「プレイステーション 3の登場もあるので、HDMI 1.3の能力をフルに生かしたコンテンツとしては、まずはゲームソフトがお目見えすることになるだろう。ゲームソフトはコンピュータ上でレンダリングされているので、ディープカラーへの対応も速やかに行えるからだ」

 「映画に代表されるプロフェッショナルな映像コンテンツは既に8ビット以上の環境で製作されており、8ビット以上が表示可能な家庭用ディスプレイの登場も間近だ。そうした環境整備が進めば、対応コンテンツの製作は自然に始まる。HDMI 1.3をフルに活用できるコンテンツの登場は、時間の問題だと考えている」(Silicon Imageのブレット・ケインズ氏)

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