LG電子は、「2007 International CES」でHD DVDとBDの互換プレーヤーを発表した(→関連記事)。会場でデモされたように、両規格のディスクを再生することが可能だ。
ではこの技術、この製品は消費者をフォーマット戦争による不利益から守ってくれるのだろうか? そして、将来の青紫レーザーダイオード時代のユニバーサルドライブへと繋がっているのだろうか?
しかし、かつてのDVD-RWとDVD+RWの時代とは異なり、今回はユニバーサル化によるメリットはあまり大きくない。むしろ長期的なコスト負担を考えれば、消費者にとっても、メーカーにとっても、あまり良い選択肢ではない。
LGが“Super Multi Player”と呼んだBD、HD DVD、DVDを再生可能な製品は、すでに互換ドライブも完成しており、2月には発売できる見込みという。「フォーマット戦争の混乱を取り除く」新製品は、フォーマット戦争の早期終結が見込めないためにやむなく開発したものだとLGは強調している。
ベストバイとサーキットシティを含む流通で販売されるが、価格は1199ドルとサムスンのBDプレーヤー+200ドルの価格設定だ。単純計算では「Playstation 3」と「HD-A2」(日本でのHD-XF2相当)を別々に購入した方が安い。BDプレーヤーの価格(およそ1000ドル)に、HD DVDがプレイできる分のプレミアムとして20%の200ドルを上乗せしたものだとLGは説明している。
LGの両規格互換ドライブ開発は昨年の早い時期から噂されていたが、一時は開発に失敗との声も聞こえてきていた。実際に発表されたドライブは、ブルーレーザー用にBDとHD DVD、それぞれ専用のレンズを設けることで、異なるNA比、異なる深さの反射層に対応させている。
プレーヤーの核となるチップセットも、両規格に対応できるものを開発した。これはブロードコムと共同開発したもので、1つのチップセットでBDとHD DVDの両方のプラットフォームをサポートする。
ただし、BDプレーヤーとしての機能はフル装備だが、HD DVDプレーヤーとしての機能は全てとはいかない。具体的には、フル機能のiHDインタプリタを搭載していないため、iHDを用いたアドバンストコンテンツ(現時点で映画ソフトのほとんどがこのタイプ)は簡易対応となる。
iHDはスクリプト言語を基礎にしたインタラクティブコンテンツの実行環境。LGの互換プレーヤーでは、iHD用スクリプトを読み込み、ポップアップメニューなどを表示、操作できるところまではサポートしている。しかし細かなアニメーションや、豪奢なメニューグラフィックなどは表示されず、簡潔な表示に変換される。デモではワーナーブラザースの「バットマン・ビギンズ」をHD DVDで再生させていたが、基本的なコンテンツのナビゲーションに関しては問題なく動作しそうだ。
なお、LGは同時にPC用ドライブも発表しており、やはり1199ドルでHD DVDとBDの互換ドライブを単体発売する。BDドライブとしての能力は、2層の読み出しと記録の両方に対応。BD-Rの最大記録速度は4倍速である。HD DVDは読み込みのみの対応となっている。
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